ハードの仕上がりは素晴らしい! ボルボEX90へ試乗 操縦性・快適性は優秀 ソフトのアプデに期待

公開 : 2025.01.11 19:05

当初は407psか517psのツインモーターから

英国仕様のEX90は、当初2種類が導入される。合計407psのEX90 ツインモーターAWDと、517psのツインモーター・パフォーマンスという2択で、バッテリー容量は共通。後者の0-100km/h加速は5.9秒で、不満なく速い。

2025年には、278psでシングルモーターの後輪駆動が追加予定。僅かに小さい、101kWhのバッテリーも選べるようになる。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)

筆者が試乗した限り、ワンペダルドライブをオフにし、407psではコンスタントAWDモード、517psではパフォーマンスAWDモードにした状態が、最も好ましいと感じた。加速感がリニアで惰性走行でき、ブレーキペダルの反応も予想しやすい。

これ以外のモードでは、アクセルペダルのリニア感が減じる印象。エンジン車でターボが徐々に効くように、遅れてモリモリとパワーが湧く加速感、といえばいいだろうか。

ワンペダルドライブがオンの状態では、アクセルの反応が敏感になる。右足を放せば完全に停止できるものの、速度は若干調整しにくい。回生ブレーキの強さも、任意に調整はできないようだ。

操縦性や快適性は素晴らしい。アダプティブダンパーとデュアルチャンバーのエアスプリングが標準装備で、長い波長のうねりはふんわり受け流し、荒れたアスファルトでも乗り心地はしなやか。試乗車は、22インチ・ホイールを履いていたのだが。

サスペンションは、ソフトとハードを切り替えられる。ソフトの場合、高速道路の速度域では僅かに浮遊感が伴う。ハードの方が安定性は高い。

間違いなく高いオンロードでの能力

ステアリングは、滑らかで優しい手応えで、ランドローバーレンジローバーに似ている。細かなフィードバックはないものの、重み付けや反応がバランスし、正確に大きなボディを導ける。

カーブを積極的に走らせると、リアタイヤ寄りのトルク割合を感じ取れる。グリップ力に優れ、大きなSUVとしてはドライバーの充足感も高い。運転しやすく、オンロードでの能力は間違いなく高いといえる。

ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)
ボルボEX90 ツインモーター・パフォーマンス・ウルトラ(英国仕様)

さらに、車内は驚くほど静か。低速域でも、外界の騒音やロードノイズは殆ど聞こえてこない。

運転支援システムは、ボルボらしく充実している。車線維持支援の動作は自然で、速度標識認識の誤認も低め。ドライバー監視機能は、良く調整されているように思えた。ただし、アダプティブ・クルーズコントロールは期待に届いていなかった。

主張される航続距離は、407psでも517psでも同じ。107kWhの駆動用バッテリーで、601kmとなる。後者を初冬に試した今回の電費は、4.6km/kWhで、現実的に500km程度走れる計算になる。急速充電は、最大250kWに対応する。

ちなみに、EX90には従来のようなキーがない。スマートフォンかカードキー、充電式のタグを用いて、ロック解除やシステム起動をする。クルマの補機バッテリーが上がった場合、ロックの解除はできないらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事