ポルシェ・カイエンGTS
公開 : 2015.02.06 23:50 更新 : 2017.05.29 19:04
■どんな感じ?
内装は、ドアの内張り、ピラー、ルーフ・ライニングなどほとんどすべてにアルカンターラが張り巡らされている。どこを見渡しても、豪奢な雰囲気だ。ここまでするならば、ステアリング・ホイールもアルカンターラ巻きにしてくれればよかったのに……というのは、筆者のわがままだろうか。
遮音性は他のカイエンの例に漏れず優れている。どこか、しんと静まり返った洞穴に身をおさめているような気持ちになる。
一面が雪で覆われたスウェーデンの路上は、乗り心地を正確に評価するには向いていなかったけれど、それでも下からの不躾な突き上げなどはなく、通常の路面でも不快になることはなさそうだ。シャシーの煮詰めにも非常に好感がもてる。
エンジンのレスポンスも良好。先代のV8と異なり、低回転からの瞬発力にも秀でている。8速ティプトロニックが、1600rpmから発生する61.1kg-mもの最大トルクを露骨に伝え過ぎないのも、かえってGTSのおおらかな気性に合っているのかもしれない。
トルクが衰えを見せはじめる5000rpmからうえでも、炸裂感は維持されつづける。これならばエンスージァストも満足できるはずだ。ただ、最後の1500rpmだけは少し残念。先代のV8ならば、この回転域で最後の盛り上がりを見せてくれただけに、やや味気ない印象だ。
ただこれも、あなたがどのようにドライブするかによって違ってくる。いつもいつもレッド・ゾーンぎりぎりまで回すのならば、やや不満はあるかもしれないけれど、他のカイエンとの差別化を期待するだけならば、このうえなく満足できるはずだ。