ブレグジット(EU離脱)で面倒になった中古車の個人輸入 英国のクルマ事情
公開 : 2024.12.30 06:05
ブレグジットにより、英国では2020年以降に欧州からクルマを輸入するのが大変になった。それでも、憧れのクルマを手に入れるために試行錯誤する愛好家も少なくない。仏で初代トゥインゴを輸入したオーナーに話を聞いた。
欧州から個人輸入する愛好家
1993年7月、AUTOCAR英国編集部は意を決して、初代ルノー・トゥインゴを購入した。この可愛らしい新型車は英国では販売されていなかったため、編集部は本国フランスで左ハンドルのモデルを購入し(価格は約130万円)、輸入しなければならなかった。
数か月間をトゥインゴと暮らしてみて、期待は確信へと変わった。編集部の誰もが、そのスタイリング、パッケージング、洗練性、運転のしやすさを気に入った。ほどなく、英国の道路には、この風変わりなクルマが増え始めた。
それから31年が経ち、偶然にも同じく1993年式でコリアンダーグリーン(Vert Coriandre)に塗装された別の初代トゥインゴが英国にやってきた。走行距離は13万kmだが、コンディションは良好だ。
購入と輸入の理由について、ニック・ベイリーさんは次のように語る。「わたしはずっと初代ルノー・トゥインゴに憧れていました。1993年にフランスに留学していたとき、いつか必ず手に入れると心に誓ったんです」
残念ながら、ここで我らがブレグジットの話をせざるを得ない。英国がEUを離脱する前は、欧州からクルマを輸入するのは比較的簡単だったが、2020年1月31日以降は少し難しくなった。
ほとんどの人はまず、英国政府のウェブサイトでクルマの輸入方法を確認するだろう。重要な要件は、Nova(車両到着通知)と呼ばれるサービスを利用して、クルマを受け取ってから14日以内にHMRC(歳入関税庁)に通知しなければならないことだ。
また、このサービスではクルマにかかるVAT(付加価値税)と関税の額も計算される。
VATに関する規則は一見すると非常にシンプルで、すでに製造終了したモデルで、出荷から30年以上経過し、改造されていない車両の購入価格には5%の税金、それより新しい車両には20%が課される。
しかし、輸送費や輸入関税にもVATが課される。
ウェブサイトには、輸入業者はHMRCに電話して納税額を問い合わせることができると記載されているが、2022年10月にそのサービスが中止され、現在ではクルマを輸入したい人は輸入代行業者に連絡を取らなければならない。
代行業者に頼めば、通常120ポンド(約24万円)ほどでNovaの必須項目を記入し、HMRCが納税額を計算するために必要とする証明書類(オリジナルの登録証明書、車両購入および運送請求書)を提出してくれる。
支払いが確認されると、HMRCはC384という “リリース申請書” を発行し、輸入者は次のステップであるクルマの登録手続きに進むことができる。
車齢10年未満のクルマには、欧州適合証明書と、ヘッドライトやリアフォグランプなどが合法であることを証明するIVA(個別車両認証)のGB変換証明書が必要となる。
10年以上前のクルマは、MOT(車検)テストでライトが検査される。また、MPH表示のスピードメーターは法的要件ではない。
40年以上前のクルマではMOT証明書は必要ないが、輸入業者は安全性を証明し、登録プロセスを迅速化するために証明書を用意することを推奨している。
DVLA(運転免許庁)がMOTのない古いクルマに懸念を抱いた場合は、検査を行う。