出口まだ…? 世界最長の道路トンネル 10選 巨大な地下建設プロジェクト
公開 : 2025.01.01 18:05
クルマが走る道路トンネルとしては世界で最も長いトンネルを10本紹介する。ノルウェー、中国、日本など国はさまざまだが、どれも高い土木技術と個性的なアイデアが詰まっている。
もくじ
ー土木技術の結晶
ーリフィルケ・トンネル(ノルウェー) - 14.46km
ージガナ・トンネル(トルコ) - 14.48km
ー木寨嶺トンネル(中国) - 15.22km
ー秦嶺天台山トンネル(中国) - 15.56km
ーゴッタルド道路トンネル(スイス) - 16.84km
ー錦屏山トンネル(中国) - 17.54km
ー秦嶺終南山トンネル(中国) - 18.04km
ー山手トンネル(日本) - 18.20km
ーウェストコネックス(オーストラリア) - 22.0km
ーラルダール・トンネル(ノルウェー) - 24.51km
土木技術の結晶
トンネルは、地球上の過酷な地形を貫いて建設される。移動時間を短縮し、旅を快適にするものだ。
全長の短いものが多いが、中には10kmを超える非常に長いものもある。それだけ長い地下トンネルを安全に走ってもらうためには、ドライバーへの配慮も欠かせない。最先端の土木技術により実現した、世界で最も長い10本の道路トンネルをご紹介しよう。
リフィルケ・トンネル(ノルウェー) – 14.46km
リフィルケ・トンネルは現在、世界最長の海底トンネルであり、スタヴァンゲルとリフィルケの間を約14.46kmにわたって結んでいる。ここに建設されたのは、フェリーへの依存度を減らすためだ。
今では、複数の島を海底トンネルで結ぶ「Rogfast」というプロジェクトの一部となっており、これが全面開通すれば、リフィルケは世界最長の称号を手放すことになりそうだ。
着工から7年後の2019年に開通し、建設費の回収を目的とした通行料が徴収されている。総工費は64億ノルウェークローネ(約890億円)で、EVは通行料が50%割引となる。
最深部では海面下285mまで掘り下げられ、2本のチューブで構成されている。各チューブには2車線ずつ設けられ、1日あたり1万台の車両が通行できる。
ジガナ・トンネル(トルコ) – 14.48km
トルコ北部の海岸近くに位置するジガナ・トンネルは、冬には雪で通行止めになるジガナ峠を迂回するために、険しい山の岩盤を貫いて建設された。
建設工事は2016年に着工し、2023年に完成した。全長14.48kmのトルコ最長の道路トンネルであり、ジガナ峠を通るルートと比べると、距離にして8kmの短縮になる。また、夏季の所要時間も約20分短縮される。
ジガナは交通の流れを分けるために2本のチューブで構成され、新オーストリアトンネル工法(NATM)で建設された。この工法は、掘削した箇所にコンクリートを吹き付けて壁を構築し、ロックボルトを打ち込んで岩盤に固定するというものだ。
各チューブには待避所が16か所、換気塔が6基ある。また、2本のチューブの間には40か所の連絡通路が建設され、さらにトンネルへの電力供給を担う9つの変圧室も設けられている。
木寨嶺トンネル(中国) – 15.22km
中国の甘粛省にある木寨嶺トンネルの設計者および建設者は、数多くの課題に直面した。現地は標高が高く、また地震活動が活発な地域である。
世界最長クラスのトンネルを掘るには理想的な条件とは言えないが、建設にはNPRアンカーケーブルと呼ばれる技術が採用された。これにより構造物が周囲の岩盤に固定され、地盤の変動によるトンネルの変形を防ぐことができる。
多くの現代的な道路トンネルと同様に、木寨嶺トンネルも2本のチューブから構成されており、それぞれが反対方向の交通の流れを担っている。
建設工事は2016年に着工し、2024年に完成した。高地の薄い空気が作業員に与える影響もあり、工事は難航した。
完成した木寨嶺トンネルは、厳しい地形への対処方法について、トンネル工事の専門家たちから広く注目を集めている。