出口まだ…? 世界最長の道路トンネル 10選 巨大な地下建設プロジェクト

公開 : 2025.01.01 18:05

秦嶺終南山トンネル(中国) – 18.04km

秦嶺終南山トンネルは、前述の秦嶺天台山トンネルからそれほど離れていないが、全長と地表からの深さにおいて上回っている。最大深度1640mの秦嶺終南山トンネルは、世界でも最も深いトンネルの1つである。

それにもかかわらず、建設にはわずか5年しかかからなかった。中国国内の浅い深度を走る短いトンネルとほぼ同じ工期である。建設は2002年に開始され、2007年に開通した際にはアジア最長のトンネルとされた。

秦嶺終南山トンネル(中国) - 18.04km
秦嶺終南山トンネル(中国) – 18.04km

建設費は約32億人民元(約690億円)かかり、中国ではトップクラスで高額である。2本のチューブで交通の流れを分け、3基の換気塔がそれぞれに新鮮な空気を供給している。

ドライバーの疲労を防ぐため、全長にわたって屋根にはさまざまな色の照明とパターンが投影され、人工植物も設置されている。

山手トンネル(日本) – 18.20km

東京の山手トンネルは、ロンドンのブラックウォール・トンネルに似ているが、規模ははるかに大きい。ブラックウォール・トンネルは全長がわずか1.1kmで、川底から1.7mしか離れていないのに対し、山手トンネルは18.20kmの長さを誇り、東京の人口密集地の地下30mを通っている。

山手トンネルは今でも、世界最長の都市トンネルという栄誉を保持している。

山手トンネル(日本) - 18.20km
山手トンネル(日本) – 18.20km

最初の開通には15年を要した。住民の反対運動や周辺環境への懸念により、計画が遅れたためである。しかし、トンネルの上を通る山手通りの交通渋滞緩和につながるとして、建設が承認された。

山手トンネルを構成する直径11mの2本のチューブには、100mおきに非常用電話が設置されている。また、空気中の微粒子状物質を除去する高度なろ過システムも備えている。

ウェストコネックス(オーストラリア) – 22.0km

ウェストコネックス・トンネルは2023年11月に完成し、シドニー市の交通渋滞緩和計画の一環として建設された。現在に至るまで、オーストラリアで実施された道路インフラプロジェクトとしては最大規模であり、全長32.6kmの高速道路のうち、22.0kmがトンネル部分である。

最終的には、シドニーの郊外、空港、北岸、そして市内中心部を結ぶことになる。ウェストコネックス・トンネルの上部は、主に公園や遊び場、そして市街地の住民がくつろげるオープンスペースとして整備されている。

ウェストコネックス(オーストラリア) - 22.0km
ウェストコネックス(オーストラリア) – 22.0km

ウェストコネックス・トンネルはオーストラリアで最長の地下公道であり、建設費は100億豪ドル(約9800億円)に上ると推定されている。

ニューサウスウェールズ州政府による支出の新記録で、プロジェクト全体の完成には450億豪ドル(約4兆4000億円)が費やされると推定されている。しかし、政府はこのトンネルにより、移動時間の短縮と移動の信頼性向上により、220億豪ドル(約2兆1500億円)の節約につながるとも述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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