【ランボルギーニを率いるヴィンケルマン氏に訊く】電動化を達成した先の未来と2025年のあるべき姿

公開 : 2025.01.02 12:05  更新 : 2025.01.02 18:33

第4のモデル『ランザドール』

―最近では、レヴエルトテメラリオウルスに続く、第4のモデルの存在が強く噂されています。

「よりGT的なキャラクターを強く打ち出した、2ドアモデルのランザドールですね。このランザドールは、弊社のBEV戦略にとっても最も重要な、正しい方向を向いたモデルになると思います。
私はウルスをデビューさせる時、それはランボルギーニの販売台数を2倍以上に躍進させるゲームチェンジャーになると語りました。結果はそのとおりになり、カスタマーの多くはウルスで想像していたよりも良い走りに感動したのです。

2023年夏にアメリカ・モントレーで、2ドアの『ランザドール』コンセプトモデルを発表。
2023年夏にアメリカ・モントレーで、2ドアの『ランザドール』コンセプトモデルを発表。    ランボルギーニ

ランザドールはセグメントとしてはニッチに属するモデルで、GTであるから車高も高く、ドアも2枚しかありません。これまでにないランボルギーニのビジネスに大きく貢献してくれることは間違いないでしょう。もちろんライバルモデルもたくさんありますから、それらの検討をすることも重要です」

―カスタマーがランボルギーニに望むクルマのキャラクターとして、やはりエモーショナルという言葉は欠かせないと思います。BEVの時代が訪れても、たとえば魅力的なサウンドやポジティブな意味での振動を、ランツァドールやウルスで作り出すことはできるのでしょうか。

「サウンドはすでにリサーチやテストも行っており、これから最終的にその中からエモーショナルなものを選択していく作業に入ります。振動に関してもそれは同様です。ただスポーティーなだけではなく、たとえば快適性をどのように演出するか、これはなかなか難しい問題ですね」

日本のディーラーとカスタマーの関係性

―日本のディーラーとカスタマーの関係を、どのように考えていらっしゃいますか。

「非常によい友好関係を築いていると思います。ディーラーとカスタマーの関係は、ただクルマを納車して終わりなのではなく、そこからいかに刺激的な、あるいはお金で買えない体験を提供していくかにもあると思います。たとえば今日のようなビッグイベントなどはその好例でしょう。

ヴィンケルマン氏(左から3番目)を中心に、ランボルギーニのキーマンたちが参加。
ヴィンケルマン氏(左から3番目)を中心に、ランボルギーニのキーマンたちが参加。    平井大介

現在では、ランボルギーニを買える層、すなわち購買層は確実に増加しています。ディーラーはそれぞれのカスタマーに合わせた魅力的な経験を届ける、いわばアンバサダーでなければならないのです」

『ランボルギーニ・デイ・ジャパン』には、ヴィンケルマン氏だけでなく、以下のメンバーがゲストとして参加した。
ミィティア・ボルケルト氏(デザイン・ディレクター)
パオロ・ラチェッティ氏(プロダクトライン・ディレクター)
フェデリコ・フォスキーニ氏(チーフ・マーケティング&セールス・オフィサー)
アレッサンドロ・フェルメスキ氏(アフターセースル・ディレクター)
フランチェスコ・スカルダオーニ氏(リージョン・ディレクター・オブ・アウトモビリ・ランボルギーニ・アジア・パシフィック)
ダビデ・スフレコラ氏(ヘッド・オブ・アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン)

これにスケジュールの都合で出席が叶わなかったルーベン・モール氏(チーフ・テクニカル・オフィサー)の姿があれば、それはまさに期待のニューモデル、テメラリオの開発と販売に関連するフルメンバーといえたほどで、それは日本市場への期待を表すものであろう。

2025年のランボルギーニも期待に満ち溢れる

2024年もさらなる成長の勢いを止めることがなかったランボルギーニ。唯一残念なニュースといえば、2024年からエントリーしていたWECのレギュレーション変更により、同シリーズからの撤退を余儀なくされたことだろうが、同様にSC63をエントリーさせるIMSA、そしてGT3やスーパートロフェオといったカテゴリーでは、これからもその圧倒的な強さを見続けることができることがすでに発表済み。

テメラリオの生産が本格化することもあり、2025年は生産台数や売上高、そして利益においてもさらに魅力的な数字が記録されることになるだろう。ランボルギーニの2025年は期待に満ち溢れているのである。

イベント前に撮影されたテメラリオの広報写真。日本の公道を走る日が楽しみだ。
イベント前に撮影されたテメラリオの広報写真。日本の公道を走る日が楽しみだ。    ランボルギーニ

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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