「ビースト」は3モーターで845ps テスラ・サイバートラックへ試乗 実は意外と乗りやすい?

公開 : 2025.01.07 19:05

サイバービーストは3モーターで845ps

北米仕様のパワートレインは、今のところ2択。お手頃な方はデュアルモーターと呼ばれ、合計で600psと72.4kg-mを発揮する。0-100km/h加速は4.1秒で、最高速度は180km/hに設定される。

その上にあるのが、今回試乗したサイバービースト。リア側のモーターが2基になり、845psと119.2kg-mへ上昇する。最高速度は209km/hと驚くほどではないが、0-100km/hダッシュは2.6秒でこなしてしまう。

テスラ・サイバートラック・サイバービースト(北米仕様)
テスラ・サイバートラック・サイバービースト(北米仕様)

巨大なフロアの下には、122.4kWhという大容量の駆動用バッテリーが敷かれている。レンジエクステンダー仕様では、更に50kWh拡張される。もっと控えめな性能で充分という人向けに、2025年にはバッテリーが小さい後輪駆動版も登場予定だ。

最大積載量は1134kgで、荷室の奥行きは1852mm。ローリング・トノカバーが備わり、閉めた状態での容量は1591L。フロント側にも、200Lの収納がある。

確認が長くなったが、発進させた第一印象は「威嚇的」。トリプルモーターの威力を確かめたいところだが、今回はオーナーによって、845psを放つビースト・モードが無効にされていた。それでも、スポーツ・モードでも充分以上に速い。

線形的に、狙った速度へ届く。何車線もあるハイウエイの交通を、キビキビと縫うことなど簡単だろう。ピックアップトラックだから、極太のトルクもいつか役に立つはず。

ステアリングの感触は独特で、乗り始めてしばらくは切りすぎていたが、数分後には慣れていた。反応は直感的で、巨大なボディを小さな腕の動きで導ける。

3113kgの車重と弱いブレーキ 速度管理が重要

ピックアップトラックとして、スポーティな操縦性は優先条件になりにくい。一般的な速度域の限り、充分に機敏に回頭はする。

連続するカーブでは、しっかりした速度管理が重要になる。オーバースピードで突っ込むと、尖ったボディで路肩の壁をなぎ倒しかねない。3113kgの車重と、あまり強くはないブレーキを、念頭に置く必要もある。

テスラ・サイバートラック・サイバービースト(北米仕様)
テスラ・サイバートラック・サイバービースト(北米仕様)

サスペンションは、前後ともエアスプリング。300mm以上も車高を調整でき、渡河水深は約800mmある。イーロンは、ボートになるほど防水性が高いと主張していた。

20インチと小さくないが、扁平率65のタイヤを履き、乗り心地は良好。路面のツギハギが多い市街地では、重めの車重が影響し、明確な揺れを伴うが。ホイールがボディからはみ出ているから、歩行者の横を通る場合や、ガリキズには普段以上に気をつけたい。

運転席からの視界は、予想より良いものの、死角は多い。サイドミラーが大きければ、より扱いやすくなるだろう。荷台のトノカバーを閉めると、後方を目視できなくなるため、カメラ映像がセンターモニターに表示される。

自律運転システムの利用も、オプションで可能。ステアリングホイール上のボタンでオン/オフを選べ、信号に合わせた発進停止や、車線変更にも対応する。

初めはかなり奇妙に思えたが、高速道路では好調に機能する様子。しかし、カーブが連続する区間では、反対車線へはみ出そうになることが何度かあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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