【これで本当にマイナーチェンジ?】新型アストン マーティン・ヴァンテージは見た目も走りも全般改良!
公開 : 2025.01.06 11:45
アストン マーティン・ヴァンテージにマイナーチェンジが実施され、日本上陸を果たしました。え、フルモデルチェンジではなく? という声も聞こえてきそうな、大幅な改良です。吉田拓生が試乗レポートします。
大幅パワーアップはドイツ人の好意?
マイナーチェンジが施されたアストン マーティン・ヴァンテージは以前から気になっていた。何しろ第一印象、つまり顔立ちがいい。以前のマスクも挑戦と捉えれば悪くはなかったが、今回のそれは正統派アストンであることを強く感じさせてくれる。また9月に英国編集部がアップしたヴァンテージに関する詳細データテストも興味深かった。果たして日本でドライブするとどんな印象なのか?
スペックの中で誰もが目を止めるのは最高出力だろう。メルセデスAMG由来の3892cc V8ツインターボ、M177ユニットは最高出力が従来の510psから665psまで一気に高められているのだ。出力アップが容易なターボユニットとはいえ、500psオーバーの世界で3割増しは驚きである。しかもメルセデスAMGが搭載するM177ユニットで最もパワーが出ているのがAMG GT63Sの639psなのだから、なんてお人好し……じゃなかった、親切なのだろうと思わずにはいられない。
さて今回、実車を見てスタイリング以上に驚かされたのは室内だった。ステアリングもダッシュパネルも完全に刷新されていたのだ。さらに試乗車にはオプション設定されているGT3マシーンのようなカーボンファイバー筐体の硬いバケットシートも備わっており、ステアリングを握っただけで好戦的な印象が増している。DB12やヴァンキッシュといった最新モデルと雰囲気を整えた感じ? とはいえまるでフルモデルチェンジみたい。走りにも期待が高まってしまう。
ステアリング越しにわかるアップデート
走りの違いはすぐにわかった。ステアリング系の質感が違うのだ。以前はフロントにV8を搭載するクルマならではの重厚な感じで、これは初代ヴァンテージから続くものだった。だが今回はステアリングを切り込むと、ほとんど重さを感じさせないまま鼻先がスッとダイレクトに切れ込んでいく。その際のフィードバックも路面に落ちている小石の感触が正確にわかるほど。それでいてタイヤのショルダーが四角い印象で、セルフセンタリングが強くフラフラするようなこともない。
標準装着がピレリからミシュランになり、サイズもフロントで2サイズ、リアは3サイズのアップとなりパワーアップに対応しているということもあるし、フロントのシャシー構造の強化やステアリングラックのリジッドマウント化といった、アップレートもきちんとドライバビリティに表れていたのである。
クルマからのインフォメーションが豊かになるとドライビングにどんな変化が現れるのか? ペースが自然と上がる。もしくはドライバーの心拍数が下がると表現してもいい。山道でブラインドコーナーに進入していく場合の自信のようなもの違ってくるのだ。
コーナーの立ち上がりで少し強めにスロットルを踏んでみても、リアタイヤのグリップは盤石。V8エンジンのターボも依然とさほど変わらないラグを越えればそこから先にはクセがないので、『665psで2駆』という部分を警戒しながら走らせる必要もない。静的にも動的にもフルモデルチェンジに近いのでは? という印象を抱いた。