【155psパワーアップの理由とは?】新型アストンマーティン・ヴァンテージはひとクラス上にアップ!
公開 : 2025.01.07 11:45
アストンマーティン・ヴァンテージにマイナーチェンジが実施され、日本上陸を果たしました。ここでは編集部平井が、+155psに代表されるバージョンアップの理由を考えてみました。
ヴァンテージは21世紀アストン マーティンの象徴
21世紀に入り、ニューポートパグネルからゲイドンへ本拠地を移したアストン マーティンにとって、ヴァンテージはその象徴ともいえるモデルだ。
当時アストン マーティンを率いていたウルリッヒ・ベッツ氏は、かつてポルシェで993型911開発に携わった人物で、V8ヴァンテージが911をターゲットとしたことはよく知られる話。UK編集部の記事でも、ヴァンテージと911の比較記事が何本も見受けられる。個人的な印象として、ヴァンテージはデビュー当初こそ物足りなかったが、4.3から4.7Lへ進化したあたりから、ピュアスポーツカーとして本領を発揮し始めたと思っている。
当時まるでレーシングカーのようなエンジンサウンドとフィーリングにすっかり参ってしまい、『恋に落ちるレベル』と原稿に書いたことがあるほどだ。その後はV12ヴァンテージという名車も登場し、マニュアルトランスミッションを搭載するモデルは、通の間で争奪戦の様相を呈していたのも記憶に新しい。
もちろんゲイドン産のアストン マーティンといえばDB9、DB11、そして現代のDB12へと繋がる系譜もあり、それ以前のDBシリーズや、最後のニューポートパグネル産となったV12ヴァンキッシュあたりを思い出せば、こちらが本流と呼ぶことに抵抗はない。しかし21世紀のアストン マーティン躍進を支えたのがヴァンテージの系譜でもあることもまた、疑いの余地はないだろう。
最高出力が155psもパワーアップし665psに
今回取材したヴァンテージは、21世紀のヴァンテージとしては2代目のビッグマイナーチェンジモデルとなる。2代目のデビューが2017年11月で、今回のデビューが2024年2月であり、約6年ぶりのモデルチェンジだ。これを『2代目のマイチェン』と『3代目』のどちらで呼ぶかは不毛な議論なので避けるが(そもそも初代という呼び方も怪しい)、中身はかなり変わっている。
注目はデザインのアップデートやインフォテイメント系の入れ替えはもちろんのこと、やはり最高出力が155psもパワーアップし665psとなった4LのV8ツインターボであろう。呼応するようにタイヤサイズもアップしていて、先代デビュー当時にUK編集部が行ったロードテスト取材車はフロント255/40ZR20、リア295/35ZR20であったが、新型はフロント275/35/ZR21、リア325/30/ZR21となっている。そうリアは325! だ。
その迫力はリアビューに現れていて、どっしりと構えた印象。それはそのままクルマを動かした時の印象に繋がり、街中をゆっくり流していると、軽快なピュアスポーツカーというよりは重厚なスーパースポーツカーのように感じる。感覚としてはポルシェ911が997から991に変わった時のように、ひとクラス上にあがったような印象すらあるのだ。
価格もUK編集部のレポートから引用すると(日本仕様はプレスリリースに明記されていないので)、16万5000ポンド(約3168万円)。先代は12万900ポンド(約2321万円)だから、単純な比較をすれば大幅な値上げだが、それだけの価値を与えるための大幅なスペック向上と見るのが妥当であろう。その価値に対する判断は、カスタマーに委ねられた。