2024年もいろいろ大変だった 自動車業界ニュース振り返り(欧州編) EV低迷、関税、価格競争…
公開 : 2025.01.05 06:05
英国で新政権誕生
英国では2024年、14年間にわたる保守党の支配に終止符が打たれ、政権交代が実現した。10月には、新財務大臣レイチェル・リーブスの秋の予算案に多くの期待が寄せられたが、肝心な質問に対する答えは、彼女の光沢のある赤いブリーフケースの中には隠されていなかった。
労働党は選挙公約の一部として、自動車とドライバーに焦点を当てた数々の公約を掲げた。2030年のICE車の新車販売禁止措置(ハイブリッド車は2035年まで許可)を復活させるなどして、メーカーが今後10年間にどのようなクルマが売れるのか見当もつかないという状況下で「確実性」を提供するというものだ。
また、自動車保険料の高騰を抑え、充電ポイントの数を増やすことでEV購入者の支援を行うこと、さらに中古EVの普及を促進するためのバッテリー健康基準を導入することも約束した。
しかし、10月の秋の予算案は期待外れの内容となり、自動車業界の主要企業によるロビー活動にもかかわらず、EVの購入奨励策は導入されなかった。
EVに対する自動車税(VED)の導入を2025年4月1日以降に延期するよう求める声もあった。その理由の1つは、EVの車両本体価格が高いため、4万ポンド(約800万円)の高級車税の適用基準に該当するモデルが不釣り合いなほど多くなるというものだ。
代わりに英国政府は、ほとんどの新型ICEの自動車税を倍増させることで、逆の平等化を図った。また、燃料税も12か月間据え置かれることとなった。
ZEVの難題
本稿執筆時点において、ZEV義務に関する議論は大きな転換期を迎えている。まず、ステランティスは、小型商用車を製造するルートン工場の閉鎖を検討する理由として、この問題を挙げている。
カルロス・タバレスCEO(当時)は以前からこの結果を予期しており、この政策を「英国にとって恐ろしいこと」と非難していた。
数時間後、政府はZEV規制の再策定の可能性を認めた。ビジネス・貿易大臣のジョナサン・レイノルズは、現行の「引き継がれた」法律が「現在どのように機能しているか」について「懸念している」と述べた。
英国では2024年の大半にわたって、こうした議論が続いた。自動車メーカーは、多額の罰金が控えているにもかかわらず、EV販売比率22%という目標の達成に苦戦している。
2025年の28%という目標は特に困難に見える。実際、目標達成のためにICE車の販売が抑制されているため、混乱がさらに拡大している。業界は今回の英国政府のコメントを歓迎するだろうが、政府の姿勢の変化はあまりにも小さく、遅すぎたのではないか。