3列シートも選べる新SUV オペル・フロンテラへ英国試乗 ベーシック追求で高コスパ!

公開 : 2025.01.15 19:05

かつて、いすゞ・ウィザードの兄弟車だったフロンテラ ハイブリッドとバッテリーEVが同値段 装備は充実 3列シートも指定可能 充分に活発な1.2L HV 好ましい操縦性 英編集部が評価

ハイブリッド仕様とバッテリーEV仕様が同値段

ガソリンエンジン車と電気自動車の価格を同等にすることは、近年の自動車業界の目標の1つ。新しいヴォグゾールオペル)・フロンテラとフロンテラ・エレクトリックは、いずれも英国価格が2万3495ポンド(約485万円)からに設定された。

だが現状では、バッテリーEVの方が価格は高い、ということが概念として存在する。試乗したハイブリッドのフロンテラにとっては、少し不利な条件かもしれない。

ヴォグゾール(オペル)・フロンテラ・ハイブリッド・デザイン(欧州仕様)
ヴォグゾール(オペル)・フロンテラ・ハイブリッド・デザイン(欧州仕様)

とはいえ航続距離は、フロンテラ・エレクトリックが302km。対して1.2Lガソリンターボを積む方は、1度の満タンで遥かに長い距離を走れる。これだけでも、充分に訴求力のある事実になりえる。

スタイリングは、パワートレインに関わらず同一。ブラックのパネルで塞がれたフロントグリルのロゴが、エレクトリックと差別化される部分になる。

ホワイト塗装のルーフと16インチのスチールホイールは、400ポンド(約8万円)のオプション。質実的な雰囲気が出て、筆者は好ましいと感じた。

コスト削減に重点が置かれた、ステランティス・グループのスマートカー・プラットフォームを採用し、エンジンは先述の通り1.2Lの3気筒。6速デュアルクラッチAT内に、28psを発揮する電気モーターが組まれ、低域をアシストしてくれる。

駆動用バッテリーは0.89kWhと小さく、電圧も48Vと従来的な内容といえる。最高出力は、100psか135psの2択。試乗車は、2万5005ポンド(約488万円)の後者だった。

低価格でも装備は充実 3列シートも指定可能

車内空間は、全長4385mmのSUVへ期待される通りの広さ。内装は、低価格化が意識されたにも関わらず、チープな感じは巧みに抑えられている。

試乗車はベーシックなデザイン・グレードで、1つ上のGSグレードではクロス張りになるところも、プラスティックが露出。エレクトリックと同じく、ドアパネルにグリップハンドルはない。特にアクセントがないため、単調で地味なことは間違いないだろう。

ヴォグゾール(オペル)・フロンテラ・ハイブリッド・デザイン(欧州仕様)
ヴォグゾール(オペル)・フロンテラ・ハイブリッド・デザイン(欧州仕様)

ダッシュボード中央には10インチのタッチモニターが載り、ドライバーの正面にも同サイズのメーター用モニターが据えられる。フロントシートは快適な新デザイン。ワイヤレス充電パッドやUSBポートなど、装備は整っている。

インフォテインメント・システムの機能は、ラジオやナビなど簡素なものだが、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応。必要なアプリは、スマホで賄えるはず。メーター用モニターに表示できる情報は、もう少し選べた方が好ましい。

エレクトリックと異なり、フロア下に駆動用バッテリーが存在せず、3列シートを指定できる点がハイブリッド版の大きな強み。550ポンド(約11万円)のオプションで、GSグレードのみの設定だが、歓迎するユーザーは多いはず。試乗車は2列シートだったが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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