3列シートも選べる新SUV オペル・フロンテラへ英国試乗 ベーシック追求で高コスパ!
公開 : 2025.01.15 19:05
充分に活発な1.2L HV 軽快な好ましい操縦性
それでは、公道へ出てみよう。キーをひねると、3気筒エンジンが目覚める。僅かな回転振動を感取できるが、ノイズはかなり抑えられている。
電気モーターが加勢するものの、135ps版でもフロンテラ・ハイブリッドは速いわけではないが、発進時は快活。市街地では、1.2Lエンジンが不満ないパワーを発揮してくれる。6速ATの変速は、期待通りのタイミングで滑らかだ。
高速道路では、エンジンがそれなりに頑張っている様子が伝わってくる。常に力不足を感じるほどではないものの、速度域が低い一般道の方が相性は良いだろう。
操縦性は、トレッドが狭い見た目によらず好ましい。シャシーバランスに優れ、カーブが連続する区間でも軽快に先を急げる。速度域が高まるほど、ステアリングの重みが僅かに増す。筆者は、楽しいと表現しても良いと感じた。
ハイブリッドのフロンテラの車重は1344kgで、1514kgのエレクトリックより170kgも軽い。積極的にカーブへ侵入してみると、より機敏なことが見えてくる。もっとも、そこまで気張って運転するお父さんやお母さんは、少ないと思うが。
乗り心地もしなやか。落ち着きを保つように、路面の凹凸を滑らかに均していた。ただし、ピタリと安定しているわけではなく、高速域では若干の浮遊感を伴う。
ベーシックさを追求 訴求力の高いコスパ
燃費は、カタログ値で18.9km/L。今回の試乗では、複合的な条件を積極的に走らせて、平均14.2km/Lだった。プラグイン・ハイブリッドではないから、電気の力だけで走行できるわけではない。
車両価格が同じ場合、ガソリン代や税金を考えると、バッテリーEV版のフロンテラ・エレクトリックの方がランニングコストを抑えられる。しかし現状では、ハイブリッド版の方がより高い自由度で移動できることは明らかだ。
まったく新しいフロンテラ・ハイブリッドは、オペルらしい実直さを備え、見た目は個性的。ベーシックさを追求することで、ワンクラス下と同等という、訴求力の高い価格を実現している。
内装に高級感はないかもしれないが、GSグレードを選べば、それなりに質感は高められる。7シーター版が選べることも、大きな強みだろう。
確かに、走行時の洗練性でいえば、バッテリーEVのフロンテラ・エレクトリックの方が有利といえる。それでも、1.2Lのハイブリッドも捨てがたい。1度の満タンでより遠くまで走れるうえ、好印象なSUVとしての特長は同等に備えている。
◯:競争力の高い価格で優秀なコスパ 直線基調の整ったスタイリング 広々とした車内 7シーターを選べる
△:ハイブリッドは期待するほど高効率なわけではない ランニングコストでいえばバッテリーEV版 エントリー・グレードではコスト削減の結果を実感する
ヴォグゾール(オペル)・フロンテラ・ハイブリッド・デザイン(欧州仕様)のスペック
英国価格:2万5005ポンド(約488万円)
全長:4385mm
全幅:1795mm
全高:1655mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:9.0秒
燃費:18.9km/L
CO2排出量:118g/km
車両重量:1344kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:135ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)