テスラ・モデルYが発売以来初の大幅アップデートへ 「新」ヘッドライト採用、空力性能にも期待

公開 : 2025.01.06 18:05

テスラのベストセラー車「モデルY」の改良型が開発中。2020年の発売以来初の大幅アップデートとなる。空力性能とパワートレインを強化し、航続距離が改善される可能性がある。

デザイン刷新、航続距離も向上へ

テスラモデルYは今年、外観や内装の刷新、大幅な性能向上など、大規模なアップデートが予定されている。

今回、改良型モデルYのプロトタイプ(コードネーム:プロジェクト・ジュニパー)が欧州でテスト走行しているところが目撃された。テスラは2023年末以来、前月比での出荷台数の増加が一度もない長期にわたる販売低迷から脱却するために、ベストセラー車であるモデルYを活用しようとしている。

テスラ・モデルYが大幅アップデートの準備中だ。(画像は現行型)
テスラ・モデルYが大幅アップデートの準備中だ。(画像は現行型)    AUTOCAR

モデルYがアップデートを受けるのは2020年の発売以来で初めて。今回目撃されたプロトタイプでは、いくつかの新しいデザイン要素が確認できた。

最も注目すべきは、これまでテスラ車では見られなかった分割式デザインのヘッドライトで、ライバルであるポールスター4からインスピレーションを得たものと思われる。

リアでは、モデル3のC字型クラスターとは明らかに異なる新しいライトバーによって、現行型と明確に区別されるようだ。

モデルYは発売から約5年が経ち、ライバル車に対してはもはやそれほど明白な使いやすさや性能上の優位性を提示できなくなっている。例えば、発売当初は目玉とされていた最大航続距離533kmも、今ではスコダ・エンヤクやプジョーe-3008といった安価なライバル車に追い越されてしまった。

この欠点を改善することが、モデルYの改良の焦点となる。モデル3もそうだった。モデル3の場合は、空力特性と電子機器の大幅な改良により、1回の充電での航続距離が以前より最大8%伸びた。

徹底したカモフラージュが施されたプロトタイプではわかりにくいが、モデルYのフロントエンドは空気を効率的に切り裂くように再設計されているようだ。航続距離の向上と巡航時の風切り音を低減するという狙いは、改良型モデル3に準じている。

この処理により、モデル3の空気抵抗係数(Cd値)は0.23から0.219に低下し、市販車の中でもトップクラスに優れた数値を実現している。モデルYにも同様の処理を施せば、最も効率的な仕様で560km以上の航続距離を実現できる可能性がある。

今回の改良のもう1つの焦点は、使いやすさと品質の向上である。モデル3と同じく、新設計のセンターコンソール、質感を高めたテキスタイル、8.0インチの後席用タッチスクリーンなどが採用される見通しだ。

一方、モデル3の改良で物議を醸したのが、方向指示器のコントロールがステアリングコラムからステアリングホイールに移動したことだった。テスラがその批判に対応し、モデルYで従来型のコントロールを維持するかどうかはまだわからない。

パワートレインや充電システムに大幅な変更を加えることはないと予想される。モデルYの最大充電速度250kWは依然として大きな強みである。しかし、最上位グレードのパフォーマンス仕様は、新型EVのポルシェ・マカン・ターボに対抗するために、大幅な出力向上が図られる可能性が高い。

参考までに、最高出力460psのモデル3パフォーマンスは、0-100km/h加速をわずか3.1秒でこなし、最高速度は260km/hに達する。モデルYがこの数値に近いものになれば、市場最速クラスのクロスオーバーとなるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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