日産V6でダカール・ラリー制覇を目論むルーマニア 低価格車ブランド「ダチア」が初参戦

公開 : 2025.01.07 06:05

チーム一丸となって挑む過酷なラリー

エアコン完備のキャビン内は、予想通り狭い。油圧式のサイドブレーキと頑丈な機械式のシフトレバーがある。ナビゲーターは2枚のタブレット端末を操作し、ドライバーは視線の先にある小型スクリーンで方向を確認する。ラリーレイドはWRCとは異なり、ドライバーが詳細なペースノートを聞くことはない。なぜなら、彼らの行く先に道路はないからだ……。

「全体的なパッケージが非常にコンパクトで、それが最高のパフォーマンスをもたらしている。重量の大半はホイールベース内に収まっている。目立たない部分こそが重要だ。重心を下げ、重量をホイール間に保つことで、クルマを扱いやすくしているのだ」とドゥナビン氏は説明する。

ダチア・サンドライダー
ダチア・サンドライダー    ダチア

ダカール・ラリーはドライバーだけでなく、チーム全体にも厳しい。チームは自立していなければならない。「主催者は野営地に食料、シャワー、トイレを用意する。それ以外は自分たちで用意する」とチーフ・テクニシャンのアラン・マクギネス氏は言う。

筆者は1人用のテントを見せていただいた。そのうちのいくつかはサービストラックの上に取り付けられており、見た目に反して快適なようだ。

サンドライダーの開発プロジェクトは完璧なスタートを切った。2023年前半に構想され、昨年の春に発表された後、夏季も絶え間なくテストが行われた。

10月の5日間のモロッコ・ラリーは、ダカールの伝統的なウォームアップイベントであるが、アルアティヤとローブが1位と2位を独占した。

ドゥナビン氏は、サンドライダーを誇らしげに見つめている。「ダカールで優勝できたら、もっと愛着が湧くだろう。耐久レースに少し似ている。ル・マン24時間レースとダカールでの優勝は同じようなものだ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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