【ここが出発点】カーナビのトレンドの源流を振り返る

公開 : 2025.01.13 08:05

カーグッズ専門ライター歴数十年、AUTOCAR JAPANのカーグッズ情報を担当する浜先秀彰が、カーナビの歴史を解説。今回は、大画面やAV一体型といったいまや当たり前のスタイルを生んだ先駆者たちを振り返ります。

イクリプスE7707AVN/E5507AVN(富士通テン・1997年)

草分けといえる存在がイクリプスのAVNシリーズ。AVNとは“オーディオ”“ビジュアル”“ナビゲーション”の頭文字を取って名付けられた。

初代機となる『E7707AVN』と『E5507AVN』がデビューしたのは1997年のこと。当時のカーナビといえば、シート下やトランクに装着する箱型の本体に、ダッシュボード取り付け型の5.8~7型モニターを組み合わせた“オンダッシュ型”が当たり前だったが、富士通テン(現在のデンソーテン)では、エアバッグの展開を妨げない安全性の高さや、メディアを一体化することによる快適な操作性を持つ“AV一体型”がカーナビの理想形であると考えた。

現在のAV一体型ナビに近い見た目だが画面は5.8型と小さく、タッチパネルは装備していない。地図メディアはCD-ROM。
現在のAV一体型ナビに近い見た目だが画面は5.8型と小さく、タッチパネルは装備していない。地図メディアはCD-ROM。    イクリプス

とはいえ、2DINと呼ばれるカーオーディオの規格サイズに必要な機能をすべて詰め込むのは、当時の技術では至難の業だった。しかし、5.8型モニターとCD-ROMナビドライブ、FM/AMチューナー、CDプレーヤー、MDプレーヤー(E7707AVN)やカセットデッキ(E5507AVN)の搭載を実現。これによって独自のオールインワンコンセプトをアピールでき、イクリプスブランドの知名度を引き上げることに成功した。

その後もAVNシリーズは地道に改良を重ね、3年後の2000年にリリースした業界初の3デッキ(ナビ用DVDドライブ、CD、MD)モデル『AVN5510D』が大ヒットを記録。これをきっかけに、他社もオンダッシュ型からAV一体型に軸足を移すこととなり、2000年代中ごろにはAV一体型がカーナビの主流スタイルとなった。

アルパイン・ビッグX VIE-X088(アルパイン・2010年)・その1

現在では市販カーナビのトレンドは“大画面”だが、このコンセプトを初めて市販市場に持ち込んだのが、2010年にデビューしたアルパインの『ビッグX』だ。

アルパインでは当時、7型ディスプレイを搭載した2DINサイズボディ(規格サイズ)の一般的なカーナビをラインアップしていたのだが、上級モデルとして画面サイズをひと回り大きくした8型ディスプレイ搭載の『ビッグX VIE-X088』がデビュー。画面が大きくなれば、当然ながらボディも大きくなるため、そのままでは純正スペースに納まらず、カーナビ取付スペースまわりの車種別パネル(パーフェクトキット)をオプションとして用意した。

車種専用取付キットのパーフェクトフィットを使用してマークXに装着。大画面ながら違和感のないインストールとしている。
車種専用取付キットのパーフェクトフィットを使用してマークXに装着。大画面ながら違和感のないインストールとしている。    アルパイン

しかもアルパインは見た目だけでなく機能面にもひと工夫し、純正ステアリングリモコンとの連携機能や装着車に合わせた音響データなども搭載。スタート時にはプリウスアルファードヴェルファイアエスティマノアヴォクシー、インサイトなど人気の11車種に対応していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    浜先秀彰

    Hideaki Hamasaki

    千代田工科芸術専門学校写真科を卒業後、自動車専門誌編集部スタッフを経て、フリーランスライターとして独立。現在は執筆、編集、撮影を一人で行うことも多い。カーナビやドラレコのレポートを得意とするが、守備範囲はカスタムパーツや洗車ケミカル、車内小物までを含むカー用品全般となる。YouTube「カーグッズチャンネル」を2021年より運営。

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