大人がレゴで「スポーツカー」を作るとこうなる 90分の真剣勝負 問われる記者のセンス

公開 : 2025.01.07 18:05

AUTOCAR英国編集部の記者3名がレゴのパーツで思い思いの「スポーツカー」を作ることに。背景まで作り込む者、理想のバギーを仕上げる者、「不正行為」に走る者……。果たして優勝するのは誰か。

上司「90分やるからレゴでスポーツカーを作れ」

上司からの指示で、AUTOCAR英国編集部のプライヤー、ペイジ、フィリップスの3人の記者がレゴを手に、それぞれ独自のスポーツカーを作ることになった。与えられた時間は90分。何を作ったかを文章に起こし、それからプライヤー記者(筆者)が公平に勝者を決めるように、とのお達しだ。

筆者が当事者では公平な判断はできないので、編集チームで審査してもらうことにした。「コンクール・デ・レゴ」とでも言うべきだろうか。

プライヤー、ペイジ、フィリップスの3人の記者が思い思いにレゴで「スポーツカー」を作ってみた。
プライヤー、ペイジ、フィリップスの3人の記者が思い思いにレゴで「スポーツカー」を作ってみた。    AUTOCAR

フェリックス・ペイジ君、3台のどれかに投票するコンテストで、1票も入らなかった君の苦悩は、筆者にはよく分かる。君がなぜBMW E30型M3を作ろうとしたのかは理解できるが、それが達成できたかどうかは分からない。

そのリアウィングにはプリムス・スーパーバードの面影がある。ボディとホイールのサイズ比率は明らかに欧州のスポーツセダンというよりも米国の大型車である。新しいローライダーのコンセプトだと言われていたら、もっと多くの票を集めたかもしれない(そうでないかもしれない)。

筆者のグレーのバギーには7票入ったが、その過程で嫌な思い出がよみがえった。筆者の子供たちは15年以上前にスノーウィーという年老いたポニーを飼っていた。そして、偏狭なポニーショーの審査員たちはそれをよく知っていた。

スノーウィーはホースで水をかけられ、ブラッシングされ、蹄の爪を磨かれ、馬具をピカピカに磨き上げられてから、専門家のパネルに披露された。専門家パネルとは、スノーウィー以外の誰にでもバラ色のリボンを配る、ツイードのスーツを着た夫婦のことだ。不公平感が一気によみがえってきた。

「グレーのやつは、背景を使って客観性を曖昧にしようとしている」と、残酷なクリス・カルマー記者が言った。

「背景はごまかしだ。それに床にはメガサイズの土台ピースが置いてあるし、天邪鬼だ」と、支離滅裂にチャーリー・マーティン記者がまくしたてた。

「オフロードバギーが勝てないなら、それは不正だ」と、アラステア・クレメンツ記者は正しく推測した。

優勝したサム・フィリップス君の話をしよう。筆者は、彼の赤い「アームストロング・ピドリー号」が形作られていくのを見ていた。ある瞬間はボートのように見えたが、次の瞬間には、この丁寧に仕上げられたクラシックなロングボンネットのヒルクライマーに変わった。

「リアのトレッドが狭いので、正直言って乗り心地は悪そう」と、ダイナミクス専門家のマット・ソーンダース記者は言った。無理もないが、筆者がそれを言うのは負け惜しみからだ。フィリップス君は13票を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。

「赤いのが一番だ」とカルマー氏は言った。

「赤いやつ、バギー、そして4位が白いやつ」とマーク・ティショウ記者は言った。

「まったく、君たちオフィスワーカーは楽でいいよな」とカメラマンのマックス・エドレストン氏は言った。

では、レゴで作られた3台の素晴らしいマシンを、それぞれ制作者のコメントとともに紹介しよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 語り手

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 語り手

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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