アウディTT Sロードスター
公開 : 2015.02.09 23:50 更新 : 2017.05.29 18:14
テールを流すことは、比較的簡単な類だ。コントロールもしやすい方ではあるが、もう少し荷重移動に対して率直に反応してくれれば、さらに扱いやすいクルマになるのではないかと思う。
路面の継ぎ目や、おおきめのジョイントを乗り超える際には、もっとも快適な設定でも車体がぶるぶると震えることが看取される。しかし、ドライバーが苛立つようなことはなく、あくまで路面情報を伝えながらも、車体は安定させることに徹している。よって運転していて苦痛になることはない。
ダイナミック・モードにしてみると、足元の凹凸の伝え方は、初期の入力のみややゴツンとおおきくなる印象。ただし、こちらもできる限り ’丸みを帯びた’ 伝達にするよう努力していることが伺える。サスペンションの代わりに岩石でも挟み込んだのではないかと思わされた先代のTTコンバーチブルやTT RSよりは、はるかに乗り心地がいい。
総じて、高いレベルで日常的な快適性と、非日常的なスポーティネスを両立しているといっていいだろう。座席数こそ限られるが、このクルマさえあれば平日の子供の送り迎えから、週末の ’走りこみ’ まで十分に対応してくれることがわかった。
キャビンもまた、TTご自慢のポイント。荷室はルーフの開閉状態にかかわらず十分に確保されているため、ロードスターは欲しいものの、その荷室容量に躊躇っていた向きでも購入の後押しになるはずだ。
ダッシュボードはTTクーペと共通。よってミニマル・デザインの傑作ともいえる室内環境を一挙に手にすることができる。
大型のデジタル・メーターもとても好印象だ。こちらのメーターはスピード・メーターやレブ・カウンターを含む表示内容を任意に設定でき、またそれらの操作をボイス・コントロールやMMIロータリー・コントローラー、ステアリングに備え付けられるボタンなどから操作できるのもありがたい。
あまりにこざっぱりとしすぎているため、最初は少し腰が引けてしまったけれど、慣れてしまえばこれほど使いやすいシステムは他にないと思えるくらいである。
衛星ナビゲーションが有料オプションなのは玉に瑕であるものの、ヒーター付き電動シートやレザー内装を含む、たくさんの装備が最初からついてくるのもTT Sグレードならではの長所だ。