「まじめ」な雰囲気が好印象 スズキ・ビターラ(エスクード) MHVへ英国試乗 操縦性は競合以上

公開 : 2025.01.18 19:05

頼もしい動力性能 ライバル以上の操縦性

エスクードで英国の公道へ出てみよう。1.4Lガソリンターボは、充分なトルクを発揮し扱いやすい。高速道路の速度域でも不満なく加速し、背の高い見た目から想像するような鈍さはない。

エンジン単体で23.8kg-mを発揮するうえ、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が、5.3kg-mを加算する効果といえる。速いSUVだとは表現できないが、動力性能は頼もしい。6速MTのシフトレバーは、軽く正確に倒せる。ブレーキの効きもイイ。

スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

エスクードより重く上級至高な多くのライバルより、操縦性は良好。ボディが別体のラダーフレームではなく、モノコック構造を得たことが、好ましい結果を生んでいる。

走り始めてすぐ、車高の低いハッチバックと同等に扱える。ボディロールは抑制され、着座位置は高めでも、路面の凹凸による揺れも妥当な範囲。操縦性と快適性の、ちょうど良いバランスにある。

ステアリングホイールの感触は軽め。回頭性は悪くないが、切り始めに不自然なフリクションが手首へ伝わってくるのが気になった。速度域の高いカーブでの安定性も褒められる。軽めの車重と、不満ないグリップ力が効いている。

乗り心地もしなやか。薄い鉄でできた箱を感じさせるような音振は生じるものの、快適と表現できる。全体的な印象としては、軽快で流暢。短く高いプロポーションを考えると、反応にまとまりがあり、身のこなしは落ち着いている。

旧世代感は拭えない 実直な雰囲気が好印象

最新のエスクードには、ドライバー監視と車線維持支援、「インテリジェント・スピードコントロール」と称された速度監視など、複数の運転支援システムが実装される。衝突被害軽減ブレーキは、歩行者や自転車の検知にも対応する。

速度監視機能は、警告ブザーが少しうるさい。トリップコンピューターのノブを長押しすることで、無効にできる。

スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)

今回の試乗での平均燃費は、1.4Lターボのマイルド・ハイブリッドで17.5km/Lほど。このクラスのSUVとしては、可もなく不可もなくといったところ。

エスクードの標準装備は充実しているが、英国価格は約2万7000ポンド(約527万円)からと、やや高め。試乗車は3万449ポンド(約534万円)だった。

実直な雰囲気が好印象なエスクード。スズキの技術者が、時間をかけて賢明に仕上げた成果が良く現れている。堅牢なSUVでありながら、操縦性は良好。四輪駆動も指定でき、お望みなら6速マニュアルも選べる。走りが軽快で、扱いやすいのも美点だ。

しかし2025年の水準で見ると、インテリアやパッケージングは褒めにくい。インフォテインメント・システムも、機能面では不足ないものの、旧世代感は拭えない。

確かに、登場から10年が経過することを踏まえると、価格価値に長けるとは表現しにくい。それでも、MTと四輪駆動を選べる小さなSUVとして、唯一の魅力を有することも間違いない。

◯:優れた操縦性 複数から選べるドライブトレイン 充実した装備
△:安っぽい内装 狭めの車内空間 やや高めの英国価格 全体的に新しさが薄い

スズキ・ビターラ(エスクード)1.4ブースタージェットMHV ウルトラ・オールグリップ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万449ポンド(約534万円)
全長:4185mm
全幅:1775mm
全高:1600mm
最高速度:194km/h
0-100km/h加速:10.2秒
燃費:18.5km/L
CO2排出量:128g/km
車両重量:1290kg
パワートレイン:直列4気筒1373cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:128ps/5500rpm
最大トルク:23.8kg-m/2000-3000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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