本命はルノー5? ジュニアも 欧州COTY2025 ノミネート7台を再確認(1) 韓国勢2台の快挙

公開 : 2025.01.11 09:45

エネルギッシュでダイナミックなA290

MS:確かに、弱点はないかも。バランスが素晴らしい。プロダクト・デザインとしても非常に優れていて、インテリアも高水準。本物の上質さが備わっていて、この価格のバッテリーEVとしては、例外的といえます。

スペック的な根拠もありますよね。駆動用バッテリーが52kWhで、航続距離は320kmくらい。充分にパワフルで、操舵感も乗り心地も良い。ルノー的なスムーズさがあります。カーブでは、コンパクトカーらしい意欲性も感じます。

アルピーヌA290 GTS(欧州仕様)
アルピーヌA290 GTS(欧州仕様)

MT:派生モデルの受賞は認められていませんが、アルピーヌの仕事も良かった。10年前なら、アルピーヌA290をルノー・スポール仕様と呼んでいたでしょう。

MS:自分もそうしたい気分。ベースの5と乗り比べましたが、気に入りました。エネルギッシュでダイナミック。本当に興奮する瞬間を提供してくれます。ドライバーとの一体感という部分では、まだ僅かに満たされないとしても・・。

MT:公道では、5の方が優秀だと思います。価格も安く、魅力は負けず、航続距離は長い。とはいえ、A290は電動ホットハッチとして歓迎すべき1台ですよね。クルマ好きの気持ちを掴むはずです。

アルファ・ロメオ初の量産EV:ジュニア

MS:同感です。今回は、アルファ・ロメオ・ジュニアが残ったのもうれしい。ブランドに対する思い入れもありますが。同社初の量産バッテリーEVで、スポーティなヴェローチェ仕様が設定され、このクラスとしては高水準な内容にあります。

ただし、電動クロスオーバーが出色の動的能力を得ることの難しさも、英国の傷んだアスファルトでは感じさせました。A290とは違って。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)

MT:この土地では、ジュニアは充分なトラクションを発揮できていませんでしたね。乗り心地は硬めで、落ち着きも感じにくかった。恐らく、ベースグレードのジュニアが注目すべきモデルなのでしょう。

2022年の欧州COTYに選ばれた、ジープアベンジャーとプラットフォームを共有しています。突き詰めると、3年前のそれと明確な違いも感じにくかったように思います。

小さなファミリーカーとして完成度の高いEV3

MT:アベンジャーと同じ2022年には、キア・ニロEVが最終候補に残っていました。2025年には、キアEV3が7台の1台へ残っています。技術進歩の速さを、実感するモデル
ではないでしょうか。

MS:EV3も合点のいく1台です。サイズ感と車内空間、作りの良い内装、4万ポンド(約780万円)を切る価格で480km以上の航続距離。今まで手を出したくても出せなかった人のための、バッテリーEVといえるかも。

キアEV3(英国仕様)
キアEV3(英国仕様)

運転すれば、良く走り充分に快適。操縦性はおっとり気味で、運転支援システムは少しおせっかい。クルマ好きが感じる魅力度は低いとしても、殆どの人は気に入るでしょう。小さなファミリーカーとして、完成度は高いですよ。

MT:EV3の内装は、この7台ではベストでしょう。適度なサイズで乗りやすい。英国での普段使いにもぴったりだと感じます。1年に3万kmも走るようなヘビー・ドライバーにも適していそうです。走りの驚きは薄いとしても。

この続きは、欧州COTY2025 ノミネート7台を再確認(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

欧州COTY2025 ノミネート7台を再確認の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事