EVをエンジン車と区別する時代は終了 欧州COTY2025 ノミネート7台の魅力を再確認(2)

公開 : 2025.01.11 09:46

ターゲットが見えにくいインスター

MT:ヒョンデ・インスターは、誰をターゲットにしたのか見えにくい。スクエアなプロポーションはコミカルで、インテリアはワンクラス上の高級車のよう。前後のシートをフラットにすると、車中泊できる大きなベッドにもなるんです。

MS:スマートフォン・アプリ時代のモデルといえるかも。個性的でありつつ、そこまで魅力的な見た目ではない。より機能的なプロポーションとパッケージングで、実現しても良かったように思います。

シルバーのヒョンデ・インスターと、ダークグレーのクプラ・テラマール
シルバーのヒョンデ・インスターと、ダークグレーのクプラ・テラマール

小さいクルマは、大きいクルマよりまとめるのが難しい。アイディアを煮詰めるには、相応の努力が必要です。多くの人は、正当な理由がない限り、プレミアムな価格へ納得することもありません。

MT:バッテリーEVの販売目標をクリアするため、従来のエンジンモデル、ヒョンデi10やi20などを置き換えるべく、開発が進められたのではないかと想像します。2025年として、賢明な戦略だとはいえるでしょう。

しかし、このクラスには強力な候補が登場しました。ルノー5です。英国価格はほぼ同じ。客観的に見て、インスターよりあらゆる面で優れています。

MS:そうですね。C3やキアEV3などより、自分も優秀だと思いますよ。ダスターはまったく異なる特徴を持つので、配点は難しそうですが。でも、アルファ・ロメオジュニアフォーメンターより、ポイントを得るのではないでしょうか。

EVをエンジンモデルと差別する時代は終了

MT:新しい5は、このクラスのバッテリーEVとして、デフォルトなチョイスになりそうです。英国では、フォードフィエスタの後継モデルのように受け止められるかも。

そして、バッテリーEVをエンジンモデルと区別する時代が終わったともいえるでしょう。小さなクルマとして、本当に魅力的。BMWが復活させた、ミニのような存在になる可能性も感じさせます。

ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)
ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)

ダスターも、高く評価したいですね。EV3とC3が、次点を争うように予想しています。(終)

AUTOCARの影響力は60分の1でしかないが、欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)2025には、どの1台が選ばれたのか。充実した7台のノミネートであることを考えると、本当に優れたモデルとして、受賞車は記憶に刻まれることになりそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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