【90kg軽く、40万円安い】ルノー・ファンに勧めたい新型アルカナはマイルドハイブリッド

公開 : 2025.01.14 11:45

ルノー・アルカナが、2024年10月にマイナーチェンジを受けました。ストロングハイブリッドのE-TECHに話題が集まりがちですが、ここでは、マイルドハイブリッドにスポットをあて、大音安弘がルノー・ファンに勧めたい理由を解説します。

ミッドサイズSUV、3度目の正直

ルノーアルカナが、2024年10月にマイナーチェンジを受けた。現行ラインナップの中では、フラッグシップとなるミッドサイズクーペSUVである。

日本ではカングーのイメージが強く、ルノーのSUVはイメージが薄い。ただ近年は、拡大する市場を狙い、新世代SUVの投入を試みてきた。その成功例が、コンパクトSUV『キャプチャー』だ。

ルノー初のクーペSUV、アルカナがマイナーチェンジ。
ルノー初のクーペSUV、アルカナがマイナーチェンジ。    神村聖

2014年2月より導入された初代は、手頃なサイズと洒落たデザインの個性派SUVとして評価され、2021年には第2世代へと進化。早くも日本のルノーの看板車種へと成長を遂げている。

一方で、より上級となるミッドサイズSUV市場への挑戦も続けてきた。2009~2016年にコレオス、2017~2019年にカジャーを投じてきたが、いずれも成功とは言い難い結果であった。まさに3度目の正直といえるのが、『アルカナ』なのだ。

2022年2月に正式発表されたアルカナには、大きくふたつの特徴がある。ひとつがルノー初のクーペSUVであること。クーペSUVは、輸入高級車で広く展開されてきたこともあり、価格も高めものが中心。それを国産車層が検討できる価格帯に収めてきた。

もうひとつが、欧州車初のストロングハイブリッド車(SHV)であることだ。ルノー独自開発の『E-TECHフルハイブリッド』は、ルノーF1マシン開発の技術をフィードバックして開発したユニークなシステムだ。

静粛性の高さとスムーズな走り、22.8km/L(WLTC)の低燃費を実現。新たなルノー車の走りを実現し、これまにないオーナー層開拓にも成功した。当初はSHV専用車であったが、2022年12月に、1.3L直4ターボエンジンのマイルドハイブリッド仕様を追加。燃費が17.0km/L(WLTC)まで抑えられるものの、装備を同等としながら、価格を30万円高に抑え、よりアルカナを選びやすくした。

新たなスポーティグレード、エスプリ・アルピーヌ

2024年10月にマイナーチェンジを受けても、マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドの2本立てであることは同等だが、新たなデザインアイコンとして、『アルピーヌ』を取り入れた。

これまでルノーのフラッフシップスポーツは、『R.S.』の愛称でおなじみの『ルノー・スポール』で、スポーツモデルだけでなくスポーティグレードにも、そのブランドが使われてきた。

新たなスポーティグレード『エスプリ・アルピーヌ』が採用された。
新たなスポーティグレード『エスプリ・アルピーヌ』が採用された。    神村聖

それを近年復活した往年のスポーツブランド『アルピーヌ』に集約させることを決定。アルカナでも『R.S.ライン』のポジションを、新たなスポーティグレード『エスプリ・アルピーヌ』が担うことなり、この改良で主力グレードとして登場したのだ。

具体的には、従来型のデザインをベースに、フロントマスクはダイヤモンド形状のフロントグリルに変更し、エンブレムも新しい2Dデザインのものに。フロントマスクはよりシャープかつモダンな印象に変化した。

足元には、1インチアップとなる新デザインの19インチアルミホイールを装着。フロントフェンダーのサイドエンブレムも、エスプリ・アルピーヌ仕様に変更された。

リアスタイルでは、フロント同様に2D化されたルノー・エンブレムに加え、ブラック化されたアルカナ・ロゴやクリアテールランプなどを採用。さらにリアバンパーに内蔵されるエキゾーストフィニッシャーをブリリアントブラックとし、ドレスアップを図っている。

インテリアでは、フレンチブランドを印象付けるトリコロールカラーのステッチをステアリングやドアトリムに採用。さらにシートやステアリングのレザーは、人工皮革のTEPレザーとすることで、環境性能を高めている。

機能面では、タッチスクリーンが従来の7インチから9.3インチまで拡大し、360°カメラに対応したことは朗報だろう。以上が主な進化点であり、燃費を含め、メカニカルなアップデートはアナウンスされていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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