【共通点は人に寄り添う】ミライースGRスポーツから災害救助車まで、ダイハツの姿勢に注目!

公開 : 2025.01.12 12:05  更新 : 2025.01.12 13:18

ダイハツは東京オートサロン2025に7台を出展。ミライースGRスポーツのようなオートサロンらしいコンセプトだけでなく、日々の暮らしを守る災害救助車などもしっかりと展示しました。内田俊一がその取り組みをレポートします。

素性の良いミライースを使って

ダイハツは東京オートサロン2025に、『お客様に寄り添い、暮らしを豊かにする』取り組みとして、『モータースポーツのすそ野を広げ、走る楽しさをみんなのものに』と『地域に寄り添い、日々の暮らしを守る』をテーマに計7台のクルマを出展。そのうち特徴的なクルマ達を紹介しよう。

まず気になるのはミライースをベースに、ターボと5速MT化した『ミライースGRスポーツ・コンセプト』だ。ダイハツはトヨタGAZOOレーシングから暖簾分けされる形で、ダイハツGAZOOレーシングとしてモータースポーツ活動を行っている。その中にミライースをベースにターボ化し5速MTに換装した、ミライースモータースポーツ参戦車があり、これを市販化したらどうなるかというコンセプトモデルなのである。

ダイハツが東京オートサロン2025で展示した『ミライースGRスポーツ・コンセプト』。
ダイハツが東京オートサロン2025で展示した『ミライースGRスポーツ・コンセプト』。    山田真人

ミライースは「1円、1mm、1gにこだわって開発したクルマ。非常にベーシックで軽量、燃費も良く、パワフルなユニットと5速MT化することで全日本ラリーも多少の装備で十分に行けた。そこでそのまま市販化出来るのではと考えた」と説明するのは、ダイハツGAZOOレーシングで商品企画を担当する殿村裕一さん。また、「軽やAセグで楽しいクルマが少ないのでそこも担えるかもしれない」という。

パワートレインはコペンのユニットやタントなどから流用。4シーターなので、「通勤から買い物、週末のドライブからモータースポーツまで全部できる」と殿村さん。「GRのデザインフィロソフィー、特にモータースポーツでも通用する空力に配慮したデザインも採用している」と述べ、会期中はアンケートを実施し、「皆さんの期待をそこに打ち込んでほしい」とのことで、結果次第では市販化も叶いそうだ。

またもう1台、『ハイゼットジャンボエクステンド2』も展示。実際のモータースポーツ活動に帯同しており、選手の着替えやミーティングなどにも使用されている。

3Kのうちのふたつは格好良いのKと絆のK

地域に寄り添うという視点では大きく3台紹介したい。まず1台は工事現場などで使用されるクルマだ。ダイハツでは『Nibako』と呼ばれる、物販用の箱をハイゼットに積載した移動販売車をレンタルできるサービスを実施。これをベースに建機リース会社に実験的に貸し出しているのがこのハイゼットトラックツールベースで、Nibako自体に新たに手を入れた仕様だ。

この背景にあるのは工事現場での過酷な実態がある。「熱中症になったり、休憩時も日陰で過ごせない環境が多く、なり手不足もある。そこでこのクルマで格好良く一緒に働きたいと思ってもらいたい、働き方を変えたいという目的だ」と説明するのは、ダイハツのブランド推進室に所属する米山知良さんだ。

これが『Nibako』と呼ばれる物販用の箱を搭載したハイゼットトラックツールベース。
これが『Nibako』と呼ばれる物販用の箱を搭載したハイゼットトラックツールベース。    山田真人

箱の中には3段の棚を用意。オプションではあるが電子レンジと温冷庫とポットがあり、さらにテントも装備でき日陰を設けることで、しっかりとした休憩が取れる仕組みだ。

さらに、これまでの軽トラックの場合、荷物はそのまま荷台に置かれていたので、工具などがなくなったり、下敷きになって取り出しにくい状況もあったが、この棚で解決できるようにした。サイドには白板を設け事務所が設営できない場所ではツールボックスミーティングも可能とし、働き手と雇用側の両方にニーズが満たされている。

デザイン的にも、ヒストグラムを用いることで何ができるかを明示しており、クリーンにも感じさせ、利用者や現場周囲の評価も高いという。この箱自体はフォークリフトで乗せ降ろしが可能なようにスリットを設け、サイズもハイゼット以外でも積載可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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