フィアット 2029年に新型500、2030年に新型パンダを投入 「500ハイブリッド」発売も前倒し

公開 : 2025.01.13 18:05

フィアットは今年11月に500のハイブリッド版「500イブリダ」を発売する。2029年には新型500、2030年には新型パンダを順次投入し、ライバルの減った欧州Aセグメントに攻勢をかける。

フィアットの「要」となる小型車

フィアットは、2029年に新型500、2030年に新型パンダを発売する計画であり、当面はイタリアで両車を生産していく方針である。

「フィアットの計画は明確だ」と、フィアットの親会社であるステランティスの欧州担当最高執行責任者(COO)ジャン・フィリップ・インパラート氏は、ブリュッセル・モーターショーでAUTOCARに語った。

パンダ(右)と500(左)はフィアットの販売を長年支えてきた。
パンダ(右)と500(左)はフィアットの販売を長年支えてきた。

「500は、2025年11月にハイブリッド版を投入する。次に、次世代の500は2029年頃にミラフィオーリ(トリノの工場)で生産される予定だ」

「現行型パンディーナ(パンダのフィアット社内での愛称)は2030年までナポリのポミリアーノ工場で生産され、2030年にはポミリアーノで新型パンディーナをお目にかけることになるだろう」

「そして、2025年3月にはグランデ・パンダが登場し、EVとハイブリッド車の両方が発売される」

「つまり、フィアットのAセグメントおよびBセグメントのラインナップに、新型500、新型パンダ、そしてグランデ・パンダが加わることになる」

フィアットは、1936年の初代500トッポリーノの発売以来、同ブランドを象徴してきた500の生産を継続する。近年、500やパンダのライバル車で多く見られるような、利益率の高いクロスオーバーやSUVに転向するという誘惑に屈することはない。

多くの欧州車ブランドは「シティカー」と呼ばれる小型のAセグメントから手を引いている。プジョー108とシトロエンC1の兄弟車はそれぞれ2021年と2022年に廃止となり、フォルクスワーゲンUp!、セアトMii、スコダシティゴは2020年から2023年の間に徐々に廃止された。フォードKa+は2019年に販売を終了した。

しかし、新たな兆しも見え始めている。キアヒョンデトヨタは、いずれもガソリンエンジン搭載のシティカー(ピカント、i10、アイゴX)を販売し続けている。また、ルノーは来年、EVとして新型トゥインゴを発売する予定だ。中国企業BYDも、シーガルというEVを投入する。

500とパンダは、過去10年にわたってフィアットの屋台骨を支えてきた。実際、パンダは14年前に発売されたにもかかわらず、今でもイタリアで最も売れている新車の1つである。

しかし、最近では500の売れ行きは芳しくない。2007年に発売されたガソリンエンジン搭載の500は、欧州連合(EU)のサイバーセキュリティ規制が強化されたことを受け、昨年生産中止となり、EVの500eがその役割を引き継ぐことになったが、まだ軌道に乗せることができていない。

500eの販売ペースが遅いため、EV(およびその兄弟車であるアバルト500e)の生産は昨年9月に一時中断され、今月下旬まで再開されない予定である。

これを受けて、インパラート氏が認めたように、新型500イブリダの11月の導入が決まった。500イブリダは、ハイブリッド・パワートレインを搭載した500eの改良版であり、ミラフィオーリ工場を守るために販売の活性化を狙うものだ。

500e自体も、今後1年以内にアップグレードされる予定である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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