【第4回】サイトウサトシのタイヤノハナシ ~空気圧の話〜

公開 : 2025.01.15 17:05

タイヤが大好物のサイトウサトシが、30年以上蓄積した知識やエピソードを惜しみなく披露するこのブログ。第4回は、指定空気圧の決め方や、積極的な空気圧調整のススメなど、自分でエアチェックしたくなりそうなハナシです。

指定空気圧は感覚で決める?

いつもカバンの中にエアゲージが入っているサイトウです。今回はクルマの空気圧について話をしてみたいと思います。

タイヤは、ほっておくと空気が少しずつ減っていくので、1ヵ月に1度くらいは空気圧をチェックしましょう、なんていわれています。でも1ヵ月くらいだと、タイヤの空気圧はほとんど変化がありません。なので多くのドライバーは、タイヤの空気圧のチェックがおろそかになりがちです。

空気圧の確認と調整は、ガソリンスタンドでも手軽にできる。外気温の変動によっても変化するので、給油のたびにチェックしてはいかがだろう。数分程度の作業で、安全性や快適性を保てる。
空気圧の確認と調整は、ガソリンスタンドでも手軽にできる。外気温の変動によっても変化するので、給油のたびにチェックしてはいかがだろう。数分程度の作業で、安全性や快適性を保てる。    関 耕一郎

タイヤメーカーはなるべく空気が漏れないように、高性能なインナーフィルムを開発するなど、努力を重ねているのですが、それがかえって空気圧チェックの瀕度を少なくしているのは、何とも皮肉な話です。

ところで、クルマの指定空気圧ってどうやって決まるのでしょう?

だいぶ昔に、某国産自動車メーカーのテストドライバーに聞いたことがあります。そのメーカーではテストドライバ-が「こんなもんかなあ」と決めているそうです。

……すみません、話を端折りすぎました。

彼によると、車格によってタイヤサイズが決まるので、車重とタイヤのロードインデックスを見ながら、ロードインデックスを下回らない範囲で、操縦性や乗り心地、転がり抵抗を勘案しながら空気圧を調整するのだそうです。最近ではコンパクトカーでもかなり大径のタイヤを履いていますから、車格によってタイヤサイズが決まるってことはなくなっているようですが、いずれにしても装着するタイヤサイズが決まったら、そのクルマのキャラクターにあうように空気圧を決めるわけです。

空気圧で変わるタイヤの最大負荷

ロードインデックスというのは、例えば215/40R18 85Yなどと表記されているうちの『85』がこれに当たります。タイヤ1輪が受け持つことのできる荷重指数で、JATMAのホームページや、タイヤカタログの後のほうに換算表が掲載されています。

荷重指数は、簡易的なものだと最大負荷能力(kg)が表記されるだけですが、空気圧によって負荷能力は変わります。例えば85なら180kPa時435kg、190kPa時450kg、200kPa時465kgといった具合で、240kPa時の515kgが最大負荷能力となります。

ロードインデックスは、タイヤサイズ表示のうち、後ろのほうに表記された2〜3桁の数字。タイヤ交換時は、新車装着タイヤの数字を下回らないよう注意したい。
ロードインデックスは、タイヤサイズ表示のうち、後ろのほうに表記された2〜3桁の数字。タイヤ交換時は、新車装着タイヤの数字を下回らないよう注意したい。    関 耕一郎

これは、日本自動車タイヤ協会=JATMA規格の空気圧別荷重能力に定められたものです。

欧州ではETRTO(=欧州タイヤ・リム技術機構)が規格を定めており、最大空気圧は250kPaとなっています。最近では国産タイヤでも、タイヤサイズによって最大空気圧が240kPaと250kPaが混在しているので、空気圧別荷重能力表を参照してください。

ついでに言うと、さらにエクストラロードとかリインフォースドと呼ばれる、最大空気圧を290kPaに設定したものもあります(※ロードインデックスについては、改めて項目を立てて紹介しようと思います)。

話は少し戻って、タイヤの負荷能力は空気圧によって変わるので、クルマ1輪の最大負荷能力を超えない範囲で、乗り心地や、操縦性、転がり抵抗などを勘案しながら調整しているのだそうです。もちろんすべてのメーカーがそうやっているかどうかはわかりませんが、空気圧調整は案外最後の味付けとして効果があるんじゃないかと思っています。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤 聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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