【第4回】サイトウサトシのタイヤノハナシ ~空気圧の話〜

公開 : 2025.01.15 17:05

空気圧調整は手軽なチューニング

指定空気圧というと、絶対的な数値であるように思うかもしれませんが、タイヤの負荷能力を考えれば、調整幅は多少あるし許容されているのです。そもそも冷間(タイヤが冷えた状態)と温間(走行中や走行後)の温度では差があります。見方を変えれば、多少の空気圧の変更は許容される範囲ともいえるわけです。

この空気圧調整は誰にでもできるチューニングでもあるので、ぜひ試してみてください。たとえば、高速道路を走っている時に、まっすぐ走ろうとしているのに蛇行する感じがある場合には、後輪の空気圧をちょっと下げてやると落ち着いたりします。また、ハンドル操作に敏感で、チョロチョロ(言葉が悪いですが)とノーズの動きが落ち着かない感じがある場合には、前輪の空気圧を少し落としてやるとよくなることがあります。

指定空気圧は、運転席ドアを開けたところに表示されているのが一般的。乗車人数や積載量に対応した空気圧を指定しているものもあるが、逆に言えばそれだけ調整しろがあるということだ。
指定空気圧は、運転席ドアを開けたところに表示されているのが一般的。乗車人数や積載量に対応した空気圧を指定しているものもあるが、逆に言えばそれだけ調整しろがあるということだ。    関 耕一郎

逆に、クルマの動きが鈍く感じたり、もう少しシャキッとした感じがあるといいなぁと感じている場合には、前輪か前後輪両方の空気圧を少し上げてやるとしっかりした感じや歯切れのいい感じが出ます。

空気圧の調整幅は10~20kPa(0.1~0.2kgf/cm2[キロ])で十分…というかそれ以上は調整しないでください。

指定空気圧を基準にした0.1~0.2キロの上下って案外違いが分かるものなんです。

指定空気圧に合わせて数日走った後に、空気圧を0.1キロ下げるとコツコツした乗り心地がマイルドになるのがわかると思います。逆に0.1キロ高めにするとクルマの動きがシャキッとした感じになります。

だまされたと思って試してみてください。違いが分かったら、……判らなくても感想をコメント欄に書き込んでみてください。中には騙された! と思われる人もいるかもしれませんが、違いを感じ取れたという人も少なくないと思います。

もちろん効果がわかりやすいクルマ、分かりにくいクルマもありますし、タイヤの摩耗の具合やタイヤの銘柄によっても差はあると思います。

ただ、そうやって、タイヤに注意を払って違いを判ろうとしたり、空気圧のちょっとした変更だけでより好みのセッティングを見つけたりするのは、案外面白い作業ではないでしょうか。またそうしているうちに、タイヤに関する感度がだんだん敏感になっていきます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤 聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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