旧車乗りの食指が動く可能性について考える【ヒョンデ・コナ長期レポート#4】

公開 : 2025.01.15 11:45

編集部ではヒョンデ・コナを長期レポート中です。今回は1974年式アルファ・ロメオを27年ほど愛車にしている高桑秀典が試乗します。『旧車乗り』の視点で、コナはどう見えたのでしょうか?

あまりにも『普通』のクルマ

27年前に購入したキャブ車(1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニア)を足グルマとして使っている筆者にとってEVはいまのところ無縁で、もっと踏み込んだ言い方をすると、カーボンニュートラルとは対極の立場にある。

しかし、クルマ関連のライターをやっているという仕事柄、時おりEVに乗り充電することがあり、最近はヒョンデコナに触れる機会があった。

長期レポート車として編集部で活躍中のヒョンデ・コナ。
長期レポート車として編集部で活躍中のヒョンデ・コナ。    平井大介

どういうシーンで乗ったのかというと、AUTOCAR JAPANの記事制作をサポートする際に都内と自宅がある町田市を往復したのだ。70km程度という短い距離だったが、都内の渋滞路を含む一般道と空いた東名高速にて試乗することができた。

平井編集長から受け取った時点でのバッテリー残量が70%ぐらいだったので充電不要だったが、我が家でコナが1泊するという余裕のあるスケジュールだったので、日が暮れた頃に近所の日産ディーラーで急速充電。翌朝出発して再び都内に向かった。

そのようなシチュエーションで実際に乗ってみてどうだったのかというと、あまりにも普通だったのでビックリしてしまった。

筆者が考える『普通』とは、内燃機関搭載車と同じような作法と感覚で走ってくれるという意味だ。おそらく、クルマに興味がない人をコナの助手席に乗せたら、EVであることに最後まで気づかず、静かなクルマで移動したという印象だけが残ると思う。

そんなことを考えながら、ステアリングを握っていた。

気を遣うことなく動かせるコナは最適な移動手段

旧車に乗ることが好きな筆者の場合、遠方に行く際にも往年のアルファ・ロメオを使っている。

実はイタリア車趣味の一環として2016年式のフィアット500ツインエアも所有しているが、ここ最近、すぐさま漏れてしまうクーラントを足しながら騙しダマし乗っている(←そのうち修理予定)こともあり、あくまでもファーストカーは51年前に生産されたアルファ・ロメオなのだ。

27年前に購入した1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを足グルマにする筆者。
27年前に購入した1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを足グルマにする筆者。    神村聖

そのような特異なカーライフの中にEVを導入した場合、近所のスーパーやホームセンターなどに買い出しに行くときに乗ることになる。都内で打ち合わせがあり、電車で行くのが億劫なときにも使うかもしれない。

そのため、内燃機関搭載車と同じ走行感覚を有し、何も気を遣うことなく動かせるコナは平素のベストパートナーになってくれるといえ、まさに移動手段として最適。自宅に200Vコンセントは無いが、我が家の近くに急速充電できる場所が複数存在しているので、きっと有意義に使うことができるだろう。

筆者はEVを実直な移動手段として捉えているが、信頼できる足グルマをしっかり確保している旧車仲間の中には趣味の対象だと思っている好事家もいて、彼らの中では見た目も乗り味も独自であることこそがEVの魅力となっている。そう、作法や感覚が内燃機関搭載車と似ているようではダメだったりするのだ。

とはいえ、その考え方はカーマニアだけが懐くものなので、やはり、EVも使いやすいことが正義となる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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