【会場では独自のポジション】東京オートサロンとモデルカーの切っても切れない関係性
公開 : 2025.01.16 11:45
東京オートサロン2025に出展された数多くのブース群の中で、独自のポジションを築いているのがモデルカーの世界です。元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循がレポートします。
バラエティに富んだブース群の中で
さる1月10日(金)から13日(日)にかけ、千葉の幕張メッセにおいて『東京オートサロン』が開催された。これはもともと『東京エキサイティングカーショー』という名称で、チューニングカー/カスタムカーのイベントとして1983年に始まったもの。
当初はどちらかといえばハードウェア主体。オイル臭い硬派なイベントであったが、1987年の第5回からは『東京オートサロン』と名称を変更。今では国内外メーカーの新車発表の場としても認知され、本家のジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)をも凌ぐ勢いの、クルマ好きのための華やかな一大祭典へと進化を遂げているのはAUTOCAR JAPANでも再三レポートされている通り。
今回のショーでも自動車メーカーやサプライヤー、チューニングカーブランド、ショップなど、数多くのブースが広い会場を埋め尽くした。そんなバラエティに富んだブース群の中で独自のポジションを築いているのが、モデルカーの世界である。
アメリカでは実車メーカーが模型メーカーに対し、プロモーションモデルと呼ばれるスケールモデルの製作を依頼したり、欧州でも自社のクルマのミニカーを『メーカー純正モデル』としてディーラーで販売したりと、旧くから実車とそのミニチュアモデルは切っても切れない関係にあった。
もちろん我が国でもメーカーの特注ミニカーがプロモーション用に製作され顧客に配布されたりディーラーで販売されたり、といったことは今までにも広く行われてきた。つまり、ひと昔前までは模型メーカーが製作するミニチュアモデルは実車メーカーの『立体カタログ』としての意味合いが強かったのである。
良い意味で『趣味のボーダーレス状態』
しかし東京オートサロンの盛況ぶりからも推察できるように、実車趣味の世界では『メーカーのお仕着せ・吊るしの状態では物足りない』と考えるコアなクルマ好きたちの、チューニングカー/カスタムカーに対する期待値は年を重ねるごとに増すばかり。
畢竟、模型の世界にもそのムーブメントが忠実に反映されることとなる。メイクアップ、イグニッションモデル、ミニGTなど、ミニカー好きにはお馴染みのメーカーブースに展示されたモデルは、その多くが有名なチューナーの手がけた実在のデモカーやワンオフのカスタムカーを忠実にスケールダウンしたもの。さらにそれらのモデルはリバティウォークやマインズなど、一部の実車チューナーのブースでも発売されるという、良い意味で『趣味のボーダーレス状態』だ。
また、あのトミカを筆頭に、ほとんどのミニカーメーカーのブースでは、イベント記念モデルや会場限定モデルなどをリリース。それぞれのブースではお目当ての記念モデル/限定モデルを手に入れようとする多くのファンが長蛇の列を作っていた。そこに並ぶのは我が国のファン以上に海外の、特に東南アジア圏からのファンが多く見られることも近年の大きな特徴だ。
いまや日本発のチューニングカー/カスタムカー文化は、実車、ミニチュアモデルを問わず、世界的な一大ムーブメントとなっていることを感じさせるのである。