やる気を感じさせるストライプとスカート

見るからに若いフィン・シューハイファー氏だが、ボルボ242 GTの情報量には関心する。「1979年から1981年にかけて、テールライトは3種類が存在します。このクルマには、3か月しか生産されていない、中期のスタック・スタイルが装備されています」

「ヘッドライトは丸型。これは、ボルボが唯一装備させた7 1/4インチのユニットです」。5スポークのアルミホイールは、15インチのヴァーゴだ。

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オレンジとブラックのストライプが、ボンネットからサイド、トランクリッドへ続く。当時のボルボが、特別さを醸し出そうとした結果といえる。フロントスカートやシルバーのフロントグリル、ドライビングライトなども、やる気を感じさせる。

「242 GTでは、天井の内張りが珍しいブラックです。ハイライトを与える化粧トリムはありません。ウインドウは、工場純正のティンテッド・ガラスが組まれています」

「ブラックのシートには、オレンジ色のパイピングとストライプ。少しシリアスな、スポーティな雰囲気を感じると思いますよ」

見た目だけではない。B23E型2.3L SOHCエンジンのブロックは鋳鉄製で、高圧縮比化。アルミ製の8バルブ・クロスフローヘッドが載る。吹け上がりは重いものの、ボッシュ社製のインジェクションが、高精度な燃料供給を叶えている。

ステアリングラックは、ラック＆ピニオン式。ステアリングホイールは専用品で、軽すぎる通常の240シリーズと異なり、適度な重みを得ている。サスペンション・スプリングとダンパー、アンチロールバーも、引き締められたGT独自のアイテムだ。

連続するカーブで四角いボルボの真価が見える

発進させると、ファミリー・サルーンらしく第一印象は静かで温厚。直線加速が強みとは呼べず、長い滑走路を活用できるわけではない。それでも、主張された0-100km/h加速は9.8秒で、通常の242 DLの16秒から大幅に短縮されてはいるが。

グランドツアラーとして、カーブが連続する公道へ足を進めれば、四角いボルボの真価が見えてくる。3000rpm以下での刺激は薄いものの、引っ張れば満足のいくパフォーマンスを味わえるようになる。

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積極的にカーブへ飛び込むと、クッションの効いたシートが太ももを横から支えてくれる。高めの回転域を活用し、4速マニュアルを巧みに操ることで、4気筒エンジンから刺激的と表現できるパワー感を得られる。

シフトレバーには、オーバードライブ・スイッチ。加速が終わったら、ギア比を1段高め、落ち着いた高速巡航へすぐに移れる。

引き締められたサスペンションは、ボディロールを最小限に抑制。それでいて、乗り心地はうっとりするほど滑らか。すべてが、バランスしているように感じられる。望ましい運転で能力を開放すれば、完成度の高い同時期のスポーツカーの体験と重なる。

筆者の頭によぎったのは、4気筒エンジンのポルシェ912。6気筒エンジンが欲しくなるものの、優れたシャシーで身のこなしは911に迫っていた。

画像　初めてのスポーティ「レンガ」　ボルボ242 GT　240シリーズ　最新EVのEX30とEX90　全124枚