ストライプとスカートが放つ「やる気」 ボルボ242 GT(2) 連続するカーブで真価が見える

公開 : 2025.02.01 17:46  更新 : 2025.02.04 18:37

スポーティなボルボの先駆け 滲み出る旨味

ただし、242 GTに息苦しさはない。連続するカーブを飛ばしても、自信が揺らぐこともない。ブレーキは頼もしく効き、エンジンは活発に回る。もう少しエグゾーストノートが聞こえれば、充足感は増すかもしれない。

242 GTは、多くのディーラーによってプライベート・レースへ参戦した。オーストラリア大陸を1周する、約2万kmの持久戦、1979年のレプコ・リライアビリティ・ランには2台が挑んでいる。成績は、良い方でも総合30位と振るわなかったが。

ボルボ242 GT(1978〜1981年/オーストラリア仕様)
ボルボ242 GT(1978〜1981年/オーストラリア仕様)

同年の後半には、オーストラリアのバサースト1000へ挑戦。レーシングドライバーのピーター・マッケイ氏は、ほぼノーマルの242 GTで50台以上による混戦をしのぎ、20位でフィニッシュしている。

さらに242 GTは、グループA仕様へチューニング。E30型のBMW M3などに混ざり、サーキットで暴れ回った。その後のツーリングカーレースでは、240 ターボへ交代し、「空を飛ぶレンガ」のニックネームで観衆を沸かせている。

キャリアとしては短かかった242 GTだが、かつての高性能サルーンの一角をなしていたことは事実。控えめなスタイリングはそのままに、特別なボディキットとサスペンションが与えられ、スポーティなボルボの先駆けになったことも間違いない。

筆者の子ども時代の記憶が重なり、一瞬242 GTを見誤りそうになった。大きな排気音は、付加的な要素といえる。じっくり味わうことで、ボルボ本来の旨味は滲み出てくる。

執筆:マーティン・ポート(Martin Port)

ボルボ242 GT(1978〜1981年/オーストラリア仕様)のスペック

英国価格:1万5995ドル(新車時)/1万4000ポンド(約273万円/現在)以下
生産数:約5000台
全長:4900mm
全幅:1710mm
全高:1440mm
最高速度:180km/h
0-97km/h加速:9.8秒
燃費:10.8km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1290kg
パワートレイン:直列4気筒2316cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:142ps/5750rpm
最大トルク:19.3kg-m/4500rpm
ギアボックス:4速マニュアル+オーバードライブ(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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