BMW M5 vs ポルシェ・パナメーラ HV高速サルーン比較(2) ワインディングでの違いはドコに?

公開 : 2025.02.01 09:46

7代目でプラグインHVへ進化したBMW M5 車重2435kg、全長5096mmは合理的で必然的? 巨大な野獣かネイティブな流暢さか ポルシェ・パナメーラとの比較で英編集部が実力を探る

インテリアで好印象なパナメーラ M5が僅かに広い

ポルシェ・パナメーラ・ターボE-ハイブリッドの、アンビエントライトは控えめ。化粧トリムの隙間からほんのり灯り、柔らかい反射光が上質な空間を演出する。読者は、BMW M5のインタラクションバーとどちらがお好みだろう。

空間の広さは、パナメーラの方が僅かに劣る。着座位置は低いものの、ルーフラインが後方へ弧を描き、全幅が僅かに狭いことが関係している。

グリーンのBMW M5と、ダークグリーンのポルシェ・パナメーラ・ターボE-ハイブリッド
グリーンのBMW M5と、ダークグリーンのポルシェ・パナメーラ・ターボE-ハイブリッド

M5 ツーリングとパナメーラ・スポーツツーリスモとの比較なら、前者が実用性で差をつけていたかもしれない。だが2024年のアップデートで、スポーツツーリスモは廃盤となった。

サルーンで比較すると、テールゲートが大きく開くパナメーラの方が、荷室へのアクセス性は優れる。後席のゆとりでは及ばなくても、荷物は明らかに積みやすい。

内装の質感で好印象なのはパナメーラ。調和の取れた高級感が漂う。フロントシートはM5より小ぶりだが、ソファーのように座り心地が良い。車載機能の操作性は明瞭。エアスプリングの高さ調整も、運転支援システムのオン/オフも、シンプルに実行できる。

M5は機能数が多い。Mモードの他に、パワートレイン、ダンピング、ステアリング、トランスミッション、前後のトルク配分、スタビリティ・コントロールなど、それぞれのパラメータを調整できる。

時間をかけて研究するのも、面白いかもしれない。筆者のように、悩むことになるかもしれない。

暴力性すら滲ませる低域からの加速

駐車場での確認は終えて、ワインディングへ足を進めよう。起伏が大きく、カーブが連続する区間は、大型・高速なサルーンにとってホームとはいえない。しかしどちらも、狭い車線内を安定して導け、眼を見張るような運転体験を味わわせてくれる。

M5はシステム総合で728psもあるが、馬力以上に、駆動用モーターが叶える瞬間的なトルクの方が影響力は大きい。爆発的なダッシュ力を得るのに、シフトダウンを何度か繰り返し、V8エンジンを引っ張る必要はない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボE-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボE-ハイブリッド(英国仕様)

左手でパドルを軽くクリックし、右足へ力を込めるだけ。M5には、駆動用モーター用に2速ATが実装されており、ドライブトレインへ伝わるトルクを増大できる。低域からの加速時は、暴力性すら滲ませる。

もっとも、パナメーラ・ターボE-ハイブリッドとの違いは、アスリートのモーリス・グリーン氏が、リンフォード・クリスティ氏より僅かに早いダッシュを決めた程度の差、ではある。どちらも、大パワーを秘め迅速だ。

これ以上の破壊力を必要とするドライバー向けに、隠しコマンドも用意されている。M5では、シフトダウン用のパドルを長く引くとブースト・モードが発動。パナメーラでは、ステアリングホイール上のドライブセレクター・ボタンで起動できる。

V8ツインターボエンジンと駆動用モーターが、完全な臨戦態勢になる。その加速力に背徳感がまったくない、というのは嘘になるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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