「最後にして最強」 アルピナ新型B8 GT発表、ツインターボV8搭載で約3600万円から

公開 : 2025.01.17 18:45

2025年末をもってBMWに商標権を移すアルピナは、自社開発として最後のモデルとなる「B8 GT」を発表した。最高出力634psのV8を載せ、上品かつスポーティな装いとともに1つの歴史を締めくくる。

アルピナの歴史を締めくくる1台

アルピナは、最後の自社開発モデルとなる新型「B8 GT」を発表した。

正式名称をアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限&合資会社(Alpina Burkard Bovensiepen GmbH&Co)という同社は、2025年12月31日をもって独自の車両開発、生産、販売を終了し、アルピナブランドの所有権はBMWに移行する。

アルピナB8 GT
アルピナB8 GT    アルピナ

したがって、B8 GTは最後の「純」アルピナ車となる。

BMW 8シリーズをベースにしたこのモデルは、アルピナのエンジニアリング能力の集大成であり、市販車としては同ブランド史上最もパワフルなエンジンを搭載している。

4.4Lのツインターボチャージャー付きV8エンジン(B5 GTと共有)は、最高出力634ps、最大トルク86.7kg-mを発揮し、0-100km/h加速タイムはわずか3.3秒、0-200km/h加速10.5秒とされる。最高速度は330km/hに達する。

アルピナは俊敏性を高めるために、8シリーズの四輪駆動システムと電子制御ディファレンシャルを改良し、エンジンのパワーをより多く後輪に送るようにした。

新しいバルクヘッドストラットは、フロントエンドのフィーリングと反応性を高めると言われている。高速走行時のボディコントロールを向上させるため、サスペンションも強化された。

B8 GTではパワートレインやシャシーだけでなく、内外装にも独自の磨きがかけられている。例えば、カーボンファイバー製のトリムパーツや、フロントスプリッターの左右に装着された新しいカナード(前翼)などだ。

ブランドの象徴である21インチホイールに、アルピナ専用に開発されたピレリPゼロ・タイヤを装着する。タイヤの幅は、フロントが245mm、リアが285mm。

インテリアでは、アルピナ創業者のブルカルト・ボーフェンジーペンのサインがフロントのバケットシートに刺繍され、バックライト付きのドアシルにもあしらわれている。

インテリアは主にメリノレザーで覆われており、シート中央と天井にはアルカンターラが使用されている。

B8 GTはわずか99台のみが生産される予定で、欧州価格は22万5000ユーロ(約3600万円)からとなる。B3 GTやB4 GTと並ぶアルピナの最終3車種の中で、最も希少かつ高価なモデルとなる。

納車は2025年7月に開始される予定で、生産は冬前には終了する見込みである。

その後、アルピナはBMWのサブブランドとなり、BMWのモータースポーツ部門であるMと同じような位置づけとなる。

2024年9月、元ポールスターのデザイナーであるマキシミリアン・ミッソーニがアルピナの新しいデザイン責任者に就任した。

今後のアルピナ車については、現在のようにBMWベースのものになるのか、特注モデルになるのか、あるいは単にBMW車の派生モデルになるのか、まだ明らかになっていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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