【詳細データテスト】アルピナB3 さらに増した力強さ 高まったハンドリングの精度 全天候型の速さ

公開 : 2025.01.18 20:25

走り ★★★★★★★★★★

500psオーバーのB3が、とてつもなく速いのは当たり前だ。問題は、どれくらい速いのか、ということである。

0-100km/hの公称タイムは、セダンが3.4秒、ツーリングが3.5秒だが、テスト車はそれをコンマ1秒短縮した。ローンチコントロールでの発進はとんでもなくクリーンで、その後パワートレインは2t近い金属やレザーの集合体を、強力なトルクで引っ張り、息を呑むような加速を見せる。

ボンネットを開けると、アルピナが手を入れたS58直6ユニットとともに目を引くのが、M3のそれよりずっと見栄えのいいストラットブレース。この上なく美しい。
ボンネットを開けると、アルピナが手を入れたS58直6ユニットとともに目を引くのが、M3のそれよりずっと見栄えのいいストラットブレース。この上なく美しい。    JACK HARRISON

161km/hまではたったの7.4秒と、豪華なワゴンがM4CSLにコンマ1秒まで迫る。もちろん、このB3GTなら、それがほぼどんなコンディションでも実現できるが、CSLは状況を選ぶ。

実際、B3は音もなくゆったり走ることも、轟音を上げてポルシェ911ターボをブチ抜くこともできる。日常使いでは完璧なまでにイージードライブなうえ、アルピナはGTで、B3の軽くスロットルを踏んだ際にトルクがやや変動するところを和らげた。DCTと違い、変速をとくに意識させず、マッピングは良識あるもの。これだけの加速性能を持つクルマでは滅多にないことだ。

また、アルピナチューンのS58ユニットには、過給エンジンらしさもある。加速が高まるのは2000rpmあたりからで、さまざまな吸気音が聞こえてくる。

ブレーキは、カーボンセラミックが見送られた。アンドレアス・ボーフェンジーペンが、ロードカーに装着することを好まないからだ。しかし、B3GTに標準装備されるハイパフォーマンスブレーキキットの効きに疑問の余地はない。

とはいえ、もう少し食いつきとペダルの踏み応えがあれば、自信を持ってブレーキングできる。減速には思ったより10%くらい余計に踏むことが必要で、なめらかな運転が妨げられる。

記事に関わった人々

  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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