ガソリンの300eがライバル? メルセデス・ベンツGLC 300deへ試乗 両者の強みを引き立て合う

公開 : 2025.01.29 19:05

ディーゼルエンジンのGLCにプラグインHV登場 両方の強みを見事に引き立て合う走り 市街地は静かに、郊外では力強く ガソリンの300eが最大のライバル? 英国編集部が評価

強みを引き立て合うディーゼルのプラグインHV

驚くべき事実とはいえないと思うが、中型SUVのGLCは2016年の登場以来、メルセデス・ベンツのベストセラーの1台に君臨している。成功を導いた理由の1つには、市場のSUV人気があるだろう。

加えて、マイルドからプラグインまで、複数のハイブリッド・パワートレインがラインナップされていることも大きい。興味深いことに、ここにはディーゼルエンジンのプラグイン・ハイブリッドも含まれている。今回試乗した、300deだ。

メルセデス・ベンツGLC 300de 4マティック・アーバンエディション(英国仕様)
メルセデス・ベンツGLC 300de 4マティック・アーバンエディション(英国仕様)

圧縮点火エンジンと電気モーターという組み合わせのハイブリッドは、実は少し珍しい。最長125kmも電気の力だけで走行できるのに対し、ディーゼルユニットは従来的な四輪駆動モデルの動力源だといっていい。

しかし実際に運転してみると、両方の強みを見事に引き立て合っていると感じた。市街地など日常的な環境では、殆どの区間をEVモードで走行できる。極めて滑らかに加速し、走行時はCO2を排出しない。

他方、週末に郊外でキャンプを楽しむような場面では、ディーゼルエンジンが高速道路で優れた燃費を発揮する。低い回転数を保って、たくましく先を急げる。システム総合での最高出力は、332psもある。

有能で上質なメルセデス製SUVの体験へ浸れる

穏やかに走らせている限り、GLCはラグジュアリーな雰囲気を漂わせる、ライト・オフローダー。贅沢な雰囲気に浸っていられる。駆動用モーターの最高出力は135psあり、流れが速めの交通にも問題なく適応できる。

140km/hまで賄えるため、都心の高速道路でも問題なし。駆動用バッテリーが充電されていれば、ディーゼルエンジンを目覚めさせるタイミングは殆どない。

メルセデス・ベンツGLC 300de 4マティック・アーバンエディション(英国仕様)
メルセデス・ベンツGLC 300de 4マティック・アーバンエディション(英国仕様)

その2.0Lユニットが目覚めても、中回転域までは非常に上質。太いトルクで頼もしい。レッドラインが迫ると明らかにノイジーになるものの、0-100km/h加速は6.4秒と、動力性能にも優れている。

電気モーターとディーゼルエンジンの、連携もシームレス。ただし、アクセルペダルを目一杯踏み込むと、システムは若干混乱する。9速ATも含めて、何を優先させるべきか判断に悩むような場面はある。

もっとも、普段使いの範囲なら、メルセデス・ベンツ製SUVへの期待通り。特に、ゆったり走らせている時間が好ましい。乗り心地は全般的に良好で、遮音性も高い。

ステアリングはレシオが比較的クイックで、反応は充分に正確。手のひらへ伝わってくるフィードバックが少ないものの、高めの車高を感じさせない、落ち着いたコーナリングを披露する。

2385kgある車重を忘れさせるほどではないが、身のこなしも機敏。四輪駆動でありつつ、僅かに後輪が主体のフィーリングも得られる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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