【中国で現地取材】マツダの新型EVセダン、EZ-6に初乗り!ディーラーでも生の声を聞く

公開 : 2025.01.23 11:45

マツダが2024年に発売した中国向けEVセダン『EZ-6』の、恐らく日本メディア初となる中国現地での試乗が実現しました。現地のマツダ・ディーラー取材も含め、中国車研究家の加藤ヒロトがレポートします。

社運を賭けた新車種『マツダEZ-6』

中国におけるマツダの業績は芳しくない。2000年代前半、セダンとワゴンを取り揃えて『マツダ6』として中国に投入された『アテンザ』は大変な人気を博した。その後もマツダ2デミオ)やマツダ3(アクセラ)、CX-5などの多様な車種を投入するだけでなく、CX-4といった中国専売車種も販売し、中国市場におけるプレゼンスを強めていった。

だが、2021年ごろから自動車業界における電動化が顕著になり、中国の新興EVメーカーが台頭。これまで市場のトップを走り続けてきた従来の外資メーカーの多くはシェアを失うこととなった。中国では『新エネルギー車』に分類されるプラグインハイブリッド(PHEV)や電気自動車(BEV)の投入が遅れたマツダもそのひとつで、これまで幾度となく起始回生のチャンスが図られたが、思うようには振るわなかった。

中国向けEVセダン『EZ-6』の、恐らく日本メディア初となる中国現地での試乗が実現。
中国向けEVセダン『EZ-6』の、恐らく日本メディア初となる中国現地での試乗が実現。    加藤ヒロト

マツダにとって厳しい状況が続く中で、社運を賭けた新車種が2024年9月に発売された。その名も『マツダEZ-6』は、中国での合弁相手『長安汽車』、そして合弁会社『長安マツダ』の3社共同で開発されたまったく新しいEVだ。長安汽車が展開する電動ブランド『ディーパル(深藍)』の『L07(旧名:SL03)』をベースとしているが、エクステリアやインテリア、乗り心地はマツダが貫いてきた『走る歓び』という価値観に沿って独自にチューニングが施されている。

テールライトはRX-7(FD3S)を彷彿とさせる意匠

EZ-6のパワートレインはベースとするL07と同じく電気自動車(BEV)モデルに加え、発電用の1.5L直列4気筒エンジンを搭載する、レンジエクステンダー付きEV(EREV)モデルを用意する。EREVは完全に発電専用で、車輪を駆動させないエンジンを搭載してバッテリーへ電気を供給するほか、通常のBEVやPHEVのように充電口経由でのバッテリー充電も可能という方式だ。

出力はEREVモデルが214hp、BEVモデルが254hpを誇る。それぞれのモデルで2種類のバッテリーを用意し、前者は容量18.99kWh/28.4kWh、後者は58.1kWh/66.8kWhとなる。なお、中国独自のCLTCモードではあるものの、BEVモデルでは1回の充電で480km/600kmを走れると公表している。

テールライトはRX-7(FD3S)を彷彿とさせる意匠で、マツダのヘリテージが感じられる。
テールライトはRX-7(FD3S)を彷彿とさせる意匠で、マツダのヘリテージが感じられる。    加藤ヒロト

EZ-6は全長4921mm×全幅1890mm×全高1485mm、ホイールベース2900mmのボディサイズを持つ4ドアとなる。カムテールを持つファストバック風セダンというスタイリングはベース車種とそっくりだが、フロントマスクやサイドのプレスライン、テールライトの造形などはEZ-6のオリジナルだ。特にテールライトはRX-7(FD3S)を彷彿とさせる意匠になっており、しっかりとマツダのヘリテージが感じられる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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