目立った弱点ナシ? オペル・グランドランド・エレクトリックへ試乗 静かで滑らか 航続511km

公開 : 2025.02.16 19:05

ヴォグゾール(オペル)のフラッグシップSUVが2代目に EV版の航続距離は511km 居心地の良い広々とした車内 リラックスした大人な走り味 最有力の候補になり得ると英編集部は評価

購入を思い留まらせそうな弱点はほぼナシ?

ヴォグゾールオペル)の新しいSUV、グランドランド・エレクトリックには好ましい部分が沢山ある。航続距離は充分に長く、デザインやパッケージングに優れ、価格競争力も高い。筆者には、購入を思い留まらせそうな弱点はほぼ見当たらなかった。

アメリカの大統領がドナルド・トランプ氏になっても、電動のファミリーSUVを検討する欧州の一般的な人々にとって、望ましい選択肢になるだろう。われわれに馴染みのあるブランドらしいし、最近のこのブランドらしいモデル作りだともいえる。

ヴォグゾール(オペル)・グランドランド・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・グランドランド・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)

ちょっと褒め殺しに思えるかもしれない。それくらい、優等生的なのだ。

このグランドランド・エレクトリックは、同社ではフラッグシップに当たるSUVの2代目。全長4650mm、全幅1905mmというサイズを持つが、ステランティス・グループのSTLAミディアム・プラットフォームを基礎骨格としたことで、先代から成長した。

ハイブリッドが設定される一方、バッテリーEV版が用意されたのはこれが初めて。スタイリングは直線基調で、面には張りがあり、高級感が漂う。ボンネットの中央には、つまんだような峰が走り、運転席からも緩やかなカーブを眺めることができる。

広々とした車内 航続距離は511km

車内空間は、そのボディサイズを活かし広々。兄弟モデルに当たる、プジョーE-3008より効果的にレイアウトされているように思う。フランス・ブランドはスタイリッシュさを追求したようなデザインだが、オペルは安心感と実用性を重視したのだろう。

ダッシュボードの中央には、16.0インチという大きなタッチモニターが据えられる。だが、エアコンには実際に押せるハードスイッチが残されている。今までのオペルのように、操作しやすい。

ヴォグゾール(オペル)・グランドランド・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・グランドランド・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)

車内には、小物入れなど収納も沢山。リアシート側の空間にもゆとりがある。荷室も大きい。人間工学へ配慮されたシートは、座り心地が素晴らしい。モダンな新築住宅のリビングにいるかのように、居心地は抜群だ。

グランドランド・エレクトリックのパワートレインは、213psの駆動用モーターに、73kWhの駆動用バッテリーという組み合わせで前輪駆動。電費は5.7km/kWhがうたわれ、航続距離は511kmと不満なし。

今回、英国での試乗日は氷点下に近い気温だったが、実際に5.1km/kWhと優れた電費が表示されていた。現実的に、370km程度は走れる計算になる。急速充電は、最大で160kWまで対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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