JAIA試乗会
公開 : 2015.02.12 23:30 更新 : 2022.12.12 21:30
2月上旬、神奈川県は大磯プリンス・ホテルを舞台に、毎年恒例となった日本自動車輸入組合が主催する報道向け試乗会が行われた。各メーカー、渾身の2015年モデルがずらりと並べられたこの試乗会、すべてのモデルに試乗することはさすがにできなかったが、その中から何台かをピックアップして、今尾直樹が試乗した。
アバルト595コンペティツィオーネ
ものすごく楽しい! グイグイ前輪が引っ張って行く感覚が、いかにも前輪駆動の小型高性能車っぽくて気持ちイイ。キビキビ感であふれんばかり。モーターボートで引っ張られてカッ飛ぶ水上スキーのようでもある(正直に申し上げれば、座布団みたいなのに座って引っ張られるヤツなのですが、私が体験したのは)。ベースのフィアット500のエンジンは0.9ℓターボで、せいぜい85ps。それを1.4ℓターボに載せ代えたアバルト500は135ps! さらにそれをチューンしたアバルト595は160psである。車重は1120㎏と軽めなので、十分速い。で、ぜんぜんランボーではない。そこに驚いた。こんなに楽しいクルマが21世紀のこんにち、地球上にまだ存在していたとは!! カ・イ・カ・ンである。薬師丸ひろ子がいまも1981年の “セーラー服と機関銃” の薬師丸ひろ子のままであるのは私の幻想に過ぎないけれど、サソリの毒は違う。なにしろ現行フィアット500のデビューが07年。アバルト500は翌08年である。私、密かに古臭く感じるのでは? と思っていたのです。ところがどっこい、トリノの人々は7年の歳月を無駄にしていなかった。乗り心地も、5速MTのシフトタッチも、記憶の中のデビュー当時よりグッと洗練されている。デザインは相変わらず素晴らしい。薄型バケットシートは見た目も座り心地もフェラーリもかくや。これぞアバルト! 欲しいです。
アバルト595コンペティツィオーネ
価格 | 3,358,800円 |
燃費 | 14.5km/ℓ |
CO2排出量 | 160g/km |
乾燥重量 | 1120kg |
エンジン | 直列4気筒1368ccターボ |
最高出力 | 160ps/5500rpm |
最大トルク | 21.0kg-m/2000rpm |
ギアボックス | 5速MT |
フォード・マスタング50イヤーズ・エディション
誕生50周年を迎えた昨年、9年ぶりに第6世代に進化したアメリカン・アイコン。内外デザインが一新され、21世紀のポニー・カーにふさわしいカタチになった。ホントにカッコいい。運転席に座れば、スポーツカーっぽいダッシュ・ボードが出迎えてくれる。助手席グラブ・ボックスのあたりに50周年エディションを示すプラックが貼ってある。日本ではこの特別仕様車が限定350台、先行発売となる。エンジンはフォード最新のEcoBoost、2.3ℓ直4ターボを縦置きする。排気量は控えめながら、最高出力314psと最大トルク44.3kg-mを発揮する。もうひとつの機構上の目玉は後輪独立懸架が初採用されたことだ。大幅にモダン化が施された、と期待して乗ってみたら、意外と先代そっくりで、なんといいますか、ある意味驚いた。たとえば、2720㎜のホイールベースは先代と同じで、いわゆるプラットフォームが一新されたわけではないらしい。ドライブ・モードでどこを選ぼうと、全体的にステアリングは重め、19インチの大きなタイヤを履くこともあって、乗り心地はそこそこで、車重1660㎏とそう重いわけではないけれど、さほど速いわけでもない。先代よりタイト感が増して、確実によくはなっている。でも、ルックスほどには……。つまり、マスタングはマスタングだったのである。「これでいいのだ」と申し上げるほかない。だって、50年も愛され続けているのだ。
フォード・マスタング50イヤーズ・エディション
価格 | 4,650,000円 |
燃費 | na |
CO2排出量 | NA |
乾燥重量 | 1660kg |
エンジン | 直列4気筒2260ccターボ |
最高出力 | 314ps/5500rpm |
最大トルク | 44.3kg-m/3000rpm |
ギアボックス | 6速AT |