新車時はほぼ注文不可能 ポルシェ911 GT3(991.2型) UK中古車ガイド 歴代最高傑作の後期型

公開 : 2025.02.02 19:05

新車時はほぼ注文不可能だった、991.2型のポルシェ911 GT3 カップカー由来の特別な4.0Lエンジン 控えめで上級志向なツーリング仕様も 今なら価格は安定 英編集部が魅力を再確認

新車時はほぼ注文不可能 特別な4.0Lエンジン

2017年に発売された、後期型となる991.2型のポルシェ911 GT3。歴代最高傑作だと称賛され、992型へ進化した今でも憧れる人は少なくない。新車時の需要は極めて高く、殆ど注文不可能といえる状態だった。

優遇された重顧客の一部は、購入後に利益を求めて転売。ほぼ新車のような中古車が少数流通したものの、かなりのプレミア価格で販売された。

ポルシェ911 GT3(991.2型/2017〜2019年/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3(991.2型/2017〜2019年/欧州仕様)

供給不足に陥った理由は、想像に難くない。公道でもサーキットでも、素晴らしい走りを堪能させてくれる911だからだ。グリップは揺るぎなく、コーナリングは優れたバランスで落ち着いていた。

しかし2025年の今、価格は落ち着いている。モダンクラシックの領域へ熟成が進む前に、1台をガレージへ招き入れるのに丁度いいタイミングかもしれない。

前期と後期で、991型のGT3は見分けが付きにくい。前後のバンパーへ、少し手が加えられた程度といえる。しかし、巨大なリアウイングの下に隠れているのは、3.8Lではなく、4.0Lの水平対向エンジン。課題だった、信頼性も高められている。

この4.0Lユニットのベースは、911カップカー。専用のクランクシャフトとピストン、ライナーなどを獲得し、油圧バブルリフターを備えない、特別なエンジンだといっていい。991型でも、2017年式以降をオススメしたい最大の理由となる。

500psの最高出力は8250rpmで得られるため、かなり引っ張る必要はあるが、9000rpmのレッドライン目掛けて滑らかに吹け上がる。ギアは、7速PDKか6速MTを選択可能だ。

控えめで上級志向なツーリング仕様も

加速の鋭さでは、PDKに軍配が上がる。サーキットでタイムを削りたいドライバーには好適だろう。だが911 GT3を髄まで味わいたいなら、旨味の濃いMTを選びたい。車重は僅かに軽く、旧来のリミテッドスリップ・デフも組まれている。

ブレーキは、公道メインなら軽いカーボンセラミック・ディスクがベター。高負荷が掛かるサーキットでは、交換費用の安いスチール製ディスクの方が適している。

ポルシェ911 GT3(991.2型/2017〜2019年/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3(991.2型/2017〜2019年/欧州仕様)

派手なウイングがお好みでなければ、控えめなツーリング仕様も存在する。右ハンドルの英国仕様は約50台と少なく、通常のGT3より高値で取引されているけれど。

ちなみに英国のリッチフィールド社は、ウイング付きのGT3をツーリング仕様へ改造するメニューを提供中。お値段は、1万8000ポンド(約351万円)ほど。状態の良い純正のツーリング仕様を買うより、安く仕上がるはず。

カーボンファイバーとアルカンターラで仕立てられるインテリアは、モータースポーツ直系。クラブスポーツ・パッケージを組んだ例では、ロールケージとハーネス、消火器も付いてくる。バケットシートはポルシェ918風のアイテムだ。

公道前提のツーリング仕様は、少し上級志向。レザー内装とコンフォート・シートが備わる例が多いはず。

ロールケージは、荷物を置くのに丁度良いシート後方の空間を潰してしまう。夏休みの初日にニュルブルクリンク・サーキットを飛ばし、そのまま南フランスを目指せる最高のスポーツカーとして、欲しい機能性といえるかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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