3列シートディーゼルSUV日米2台巨頭! ランクル250vsジープ・コマンダー

公開 : 2025.01.30 11:45  更新 : 2025.01.30 17:17

ガソリン代がどんどん上昇していく昨今、本格派SUVが欲しいけれど燃費が……。そんな今だからこそ薦めたい、コストも実用性も犠牲にならない本格派ディーゼルSUV、日米を代表する2台を、篠原政明がピックアップしました。

ミニバンからSUVに乗り換えたいのなら

21世紀初めごろから起こったSUVブームは、相変わらず終わりがないかのように続いている。いまや、軽自動車からスーパーラグジュアリーブランドまで、SUVをラインナップしていないメーカーは皆無に近い。最後の砦かと思われていたフェラーリロータスも、いつの間にかSUV(と謳っていないモデルもあるが)がカタログに加わっている。

パワートレインも、ガソリンやディーゼルといったICE(内燃機関)からHEV(ハイブリッド車)/PHEV(プラグインハイブリッド車)、そしてBEV(バッテリー電気自動車)のように電動車も増え、ついにはFCEV(燃料電池自動車)やそのプラグインモデルまで登場し、まさにマルチパワートレイン化している。

多いようで少ない『3列シートのディーゼルSUV』、ジープ・コマンダー(左)とトヨタ・ランドクルーザー250(右)。
多いようで少ない『3列シートのディーゼルSUV』、ジープコマンダー(左)とトヨタランドクルーザー250(右)。    小川和美

ボディタイプは、コンベンショナルな2ボックス的スタイルのSUVにスタイリッシュなクーペSUVが加わり、シートレイアウトも3列目を備えたモデルが増えてきた。

日本ではSUVと並んで人気の双璧をなすミニバンだが、クルマ&運転好きのユーザーには、ミニバンに抵抗感を持つ人も少なくない。そこで、とくにミドルクラスのミニバンからのステップアップには最適と注目されているのが、3列シートのSUVだ。

だが、3列目シートを備えたSUVはどうしても大きくなりがち。その多くはインポートSUVなのだが、車両価格も1000万円を超えるなど高価なものが多い。しかもガソリンエンジン車が大半で、燃費も考えるとかなり厳しい。

そこで、多いようで少ない『3列シートのディーゼルSUV』から、最適解を探してみたいとフィーチャーしたのが、今回のジープ・コマンダーとトヨタ・ランドクルーザー250だ。

どちらもトルクフルで安定感のある走り

ステランティス・グループがプロデュースする『ジープ』ブランドのコマンダーは、SUVのみを作り続けるジープのクロスオーバーSUVだ。日本仕様は2022年秋に登場した。ジープのラインナップでは、フラッグシップのグランドチェロキーとコンパスとの間に位置する。

パワーユニットにはジープとして初のディーゼルエンジンを搭載。同じステランティス・グループのフィアット由来の2Lディーゼルターボは最高出力こそ170psだが、最大トルクの350Nmを1750rpmから2500rpmで発生する。これに電子制御9速ATを組み合わせ、オンデマンドで4輪を駆動する。

ランドクルーザー250は、プラドの後継モデルとして2024年春に登場。
ランドクルーザー250は、プラドの後継モデルとして2024年春に登場。    小川和美

低速域からトルクフルなディーゼルターボは1.9トン近くある車重を感じさせず加速力は十分で、市街地でも高速でも不満ない走りを見せる。悪路走破性も十分だ。

3列7人乗りを採用し、2列目は中央部の足下も比較的フラットで大人3人乗車も苦にならない。3列目のフットスペースは大人には少し狭いが、コンパクトミニバン並みの広さは確保されている。

もう1台のランドクルーザー250(以下、ランクル250)は、プラドの後継モデルとして2024年春に登場。フラッグシップであるランドクルーザー300と基本コンポーネンツは共有するが、より実用性を重視している。エンジンは2.8Lディーゼルターボと2.7Lのガソリンを設定。

8速ATと組み合わされたディーゼルエンジンは、いかにもといったサウンドを発し、それなりに振動やシフトショックもある。それでも1600~2800rpmで500Nmという最大トルクを発生するから、市街地でも高速道路でも2.4トン近い車両重量を感じさせない走りっぷりをみせる。もちろん、悪路での走破性や安定性は『どこへでも行き、生きて帰ってこられる』というコンセプトらしい、安心感の高いものだ。

3列目シートのフットスペースはコマンダーより少し広いが、大人が長時間座るのはツラい。また2列目中央はフロアトンネルの張り出しが大きいため、大人は座り難い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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