フランスで一躍人気 SUVにも勝るルノー5 Eテックの「レトロな魅力」 EV普及の “天井” 破れるか

公開 : 2025.01.30 06:05

ルノーが昨年発売した新型EV「5 Eテック」は、フランスでベストセラーとなるなど大きな注目を集める。今後販売を続ける中で特徴的なデザインは変更せず、バッテリーなど駆動系に磨きをかけていく方針だ。

デザインは今後変えるつもりはない

ルノーは、欧州カー・オブ・ザ・イヤー2025にも選ばれた新型5 Eテックのレトロなデザインを可能な限り長く維持する方針だ。駆動系や車載システムは従来通りアップデートしていき、競争力を維持する。

ルノー5 Eテックは昨年発売された小型EVで、フランスなどで大きな注目を集め、同社の販売増に貢献している。ルノーブランドCEOのファブリス・カンボリーヴ氏は、こうした評価の高さについて、1970年代風の印象的なデザイン、技術力、独特のハンドリング特性に起因するものだと説明した。

ルノー5 Eテック
ルノー5 Eテック    ルノー

また、同氏によると、これらの特性は強化していくが、デザインを大幅に変更することはないという。

「R5(ルノー5)の良いところとして、できる限りこのデザインを維持していきたい」とカンボリーヴ氏は語った。

デザインの「ディテール」を変更するのではなく、現行世代の販売終了まで「非常に細かい要素」を更新していくつもりだという。

「(主任デザイナーの)ジル・ヴィダル氏と彼のチームが創造性を発揮し、同じクルマでありながら、異なるものにすることができるだろう。それがR5の理念だ」

性能的な観点から見ると、5 Eテックは、航続距離、出力、充電速度の面で、ライバルであるプジョーe-208、ミニ・クーパーE、オペルコルサ・エレクトリックと肩を並べている。カンボリーヴ氏は、これらのライバル車のアップグレードと、Bセグメントの小型EV市場の拡大に合わせて、5 Eテックの魅力を維持できるよう全力を尽くすつもりだと述べた。

「バッテリーマネジメントの技術には、確実に投資しなければならない。コネクティビティにも投資するが、クルマの汎用性やモジュール性にも投資できるだろう」と彼は述べた。

従来のタイムラインに従えば、5 Eテックは2028年頃にマイナーチェンジ(一部改良)の時期を迎えることになるが、これはルノーの新世代EVの導入時期と重なる。以前、エンブレム・コンセプトで予告されたように、新世代EVは効率性の大幅向上、急速充電、バッテリーの低コスト化などを実現するという。

この新世代EVは5 EテックのCMF-BEVとは別の新しいプラットフォームをベースとするが、5 Eテックもバッテリー技術などの恩恵を受けられる可能性が高い。

それより前の2026年には、ルノーは主力モデルのバッテリーをNMCからLFPに切り替える予定である。これにより、航続距離に大きな影響を与えることなく、コストを20%削減できるとしている。これがそのまま車両本体価格の引き下げにつながるかどうかはまだ不明だが、もしそうであれば、5 Eテックの英国での販売価格は2万ポンド(約385万円)を下回る可能性もある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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