フランスで一躍人気 SUVにも勝るルノー5 Eテックの「レトロな魅力」 EV普及の “天井” 破れるか

公開 : 2025.01.30 06:05

ガラスの天井を打ち破る能力

前述したように、5 Eテックは昨年10月に発売されたルノーの母国フランス市場で、すでにベストセラーのEVとなっている。この熱狂ぶりは、1972年から1986年までフランスで最も売れたクルマである初代ルノー5の成功を思い起こさせる。

カンボリーヴ氏は、欧州のEV市場で大きなシェアを獲得できると期待を寄せているが、ガソリンエンジン搭載のルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)やダチア・サンデロほどの人気がすぐに得られるとは期待していないと話す。

ルノー5 Eテックのバッテリー
ルノー5 Eテックのバッテリー    ルノー

「クリオは今年で5年目に入っているが、昨年はサンデロに次いで欧州2位となり、両車とも大幅に販売台数を伸ばした。しかし、ナンバーワンを目指したりする必要があるのかどうかはわからない。わたしにとって重要なのは、R5が持っている、EV普及におけるガラスの天井を打ち破る能力だ」

カンボリーヴ氏は、顧客が5 Eテックを購入するのは「EVに乗りたいからではなく、R5が欲しいから」だと述べた。

最終的な目標は販売台数で他社を圧倒することではないが、「来年には市場の一角を占めることができると確信している」という。

欧州で売れているEVは主にSUVタイプで、スコダ・エンヤク、フォルクスワーゲンID.4ボルボEX30BMW iX1などがトップ10に入っている。しかし、5 Eテックのフランスでの活躍(11月と12月にはEV分野でトップとなった)は、欧州市場全体で大きなシェアを獲得できる可能性を示唆している。

テスラモデルYは長らく欧州のベストセラーEVであり、11月だけでも約1万8000台を販売するなど驚異的な数字を誇るが、カンボリーヴ氏は、5 Eテックでテスラを追うことは「それほど重要な目標ではない」と述べた。

EVの実用性に対する懸念が依然として成長の阻害要因となっていることは認め、「エンジン車からEVに乗り換える新規ユーザーが非常に慎重になるのは当然だ」とした。しかし、フランスにおけるルノー5 Eテックの注文の40%は、航続距離305kmの小型バッテリー搭載モデルであることから、その懸念は薄れつつあるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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