【顧客のニーズに合わせた電動化を推進します】アウディの次世代ハイブリッドシステム:MHEVプラス
公開 : 2025.01.29 06:45
洗練されたMHEVプラスのオペレーション戦略
ハイブリッドシステムでは、バッテリーのSoC(充電率)が50~60%である状態が最も効率的であるとされている。
このSoCでは、電動モーターに高い電流を供給するとともに、エネルギー回生中に高い電流を蓄えることが可能で、このMHEVプラスハイブリッドシステムの目的は、電動走行距離ではなく、バッテリーを素早く放電・充電するサイクルにあるという。
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これにより、可能な限り多くのエネルギーを回収し、それを迅速かつ効率的に、駆動用として再利用することが可能となる。
MHEVプラステクノロジーでは、制御ソフトウェアが車両の動作状態をモニタリングし、内燃エンジン、PTG、BASの最適な相互作用を実現。同様の目的のために、2つの電動モーターの最適な使用条件や、駆動またはエネルギー回生のために必要なトルクの最適値が設定された。
さらに、バッテリーの充電状態も考慮に入れられており、目指すのは安定した運用であり、制御システムは状況に応じて作動する。追加された電動駆動装置のオペレーション戦略が、それぞれの内燃エンジンに最適化されているために、ドライビングダイナミクスを損なうことなく、可能な限り低燃費を実現する。
オペレーション戦略は、選択されたトランスミッションモードやアクセルペダルの操作量を考慮しており、例えば、走行モード「D」では、PTGによる最大18 kWの追加電力が、アクセルペダルの約80%以上、またはキックダウン時にのみ発生。
一方、走行モード「S」では、アクセルペダルの踏み込み量が少ない段階から18kWの追加電力を利用可能だ。Dモードでは、高速道路や郊外の道路を内燃エンジンで一定速度で走行する際に、PTGの電動モーターでの電力損失を防ぐため、85km/h以上でPTGを切り離すことができる。
しかしSモードでは、最大許容回転数が5550rpmに達するまで、PTGは常に接続された状態を維持し、あらゆる状況に即座に反応するという。
DモードとSモードに関するオペレーション戦略は、特に48ボルトバッテリーのターゲットSoCにおいて異なり、Dモードでは平均SoCが50〜55%の際に、内燃エンジンの電動アシストと部分的な電動走行に必要なエネルギーを確保する最適なバランスがとれ、このSoCレベルではまた、信号待ちや市街地に入る際の、穏やかで長めのブレーキ操作によって回収されるエネルギーを、多く蓄えることもできる。
Sモードでは、ターゲットSoCを約70%に設定し、よりスポーティな走行に必要な電動アシストに必要なより多くのエネルギーを確保。スポーティな走行では、短くて強いブレーキングが多くなるため、エネルギー回収は少なくなる仕組みだ。
また、PTGを使用することで、より大きなトルクを瞬時に利用でき、走行性能がより上がるとともに、車両は負荷の変化に対してより素早く反応し、コーナーからの加速がより俊敏に。負荷変動もDモードとSモードで異なり、Dモードでは快適なハンドリングが、Sモードではより反応が高くダイナミックなハンドリングが可能である。
MHEVプラスを搭載したモデルは、市街地に近づくときなど、完全に電動走行が可能で、PTGを活用して速度を維持。運転者やACC(アダプティブクルーズコントロール)が必要とする出力が一定の値を超えると、内燃エンジンが始動し、駆動力を引き継ぎ、始動条件は、48ボルトバッテリーのSoCと車両の速度によって決まると述べた。
SoCがターゲットSoCを下回った場合は、内燃エンジンがより早く始動する。これは、電動走行によってエネルギー消費を増やし、SoCをさらに低下することを防ぐためで、内燃エンジンはBASとPTGを組み合わせて、必要に応じてSoCを上げる、すなわち、充電することができる。
但し、渋滞時の低速走行または駐車の場合など、電動操作の際には該当せず、ターゲットSoCよりはるかに低い状態でも維持される。
一方、SoCがターゲットSoCを超えている状態では、内燃エンジンは遅れて始動。より多くの出力が要求されるタイミングで始動し、48ボルトバッテリーがターゲットSoCレベルまで意図的に放電し、エネルギー回収フェーズで十分なエネルギーを吸収できる状態を確保する。
また、車両の速度が上がるにつれて、内燃エンジンが出力を要求する条件が早くなり、つまり、速度が上がるほど、内燃エンジンで走行する割合が増えるという。
燃料タンクに入れる燃料の種類にかかわらず、パワートレインの効率向上によって車両の全体的な航続距離が大きく改善され、このように、MHEVプラステクノロジーを搭載したモデルは長距離走行に非常に適しており、ドライブをより快適にする。
なおこのMHEVプラステクノロジーは、顧客ニーズの違いにより、米国市場には提供されないと発表されている。
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