【第2回はアルファ・ロメオ 155】第5水曜日の男!遠藤イヅルの『令和的』ヤングタイマー列伝!
公開 : 2025.01.29 17:05
クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルが、令和的なヤングタイマーを語る連載。マニアック体質の筆者らしく、年に数回の『第5水曜日』限定でお送りしています。第1回はアルファ・ロメオ155をピックアップします。
見飽きない、清々しいほどのウェッジシェイプ
こんにちは。クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルです。年に数回だけやってくる『第5水曜日』に、『今見直したい』ヤングタイマー世代のクルマについて記す当連載。第2回は、『アルファ・ロメオ 155』をお送りします。
スポーツモデルや高性能車のイメージが強いイタリアの名門、アルファ・ロメオですが、彼らの戦後以降の基本的なスタンスは、究極的なところ『スポーティな実用車メーカー』だと思います。その中核をなすのは、現在に至るまで長きにわたってセダン(イタリア語で言えばベルリーナ)です。
![低いノーズと高いトランクがウェッジシェイプを作る155。写真は前期型のV6だ。](https://www.autocar.jp/wp-content/uploads/2025/01/alfa_155_20250129_official_01.jpeg)
現行型のベルリーナは『2代目ジュリア』しかありませんが、かつてはふたつの系統がありました。ひとつ目は『1900』に端を発し、現在のジュリアに至る系譜。もうひとつは『2000/2600』から『166』とつながる、いわゆるフラッグシップ系の流れです。
その中で、1992年に登場した155は、FF(前輪駆動)を採用して同社の量販ベルリーナに大きな転換点を与えました。フィアットの兄弟車となったのもトピックです。『ティーポ 3』という計画のもと、『フィアット・テムプラ』、『ランチア・デドラ』、そしてこの155がプラットフォームを共有しました。
3車とも『I.DE.A』がデザインを担当しましたが、3社ごとのイメージに合わせテイストを変えていました。155は直線的でハイデッキな前任モデル『75』の印象を継承。さらにフロントノーズは低く、トランクは一層高くなって、清々しいまでのウェッジシェイプをまとっていました。デビューして30年以上経っていることに驚かされますが、そう感じさせるのは、細部のディティールに古さがまったくなく、むしろ今なお新鮮に見える素晴らしいデザインがなせる技でしょう。
FF だけど、乗ったら見事にアルファ・ロメオ
FF化に伴ってエンジンは横向き搭載となりましたが、ユニットは基本的に従来のアルファ・ロメオのそれ。本国ではアルファ・ロメオ製の1.7、1.8、2LDOHCの『ツインスパーク』と、2.5LV6、2.5Lディーゼルターボを搭載。さらにFF化、兄弟車の誕生によるメリットとして、『ランチア・デルタ・インテグラーレ16V』用の2リッターターボ+フルタイム4WDシステムを載せたモデル『Q4』も出現して、話題を呼びました。
1995年のマイナーチェンジでは、フェンダーをブリスター風にリデザインした後期型に発展。DOHCエンジンはフィアット製ブロックにアルファ・ロメオが開発した16バルブユニットに置き換わったほか、各部をリファインしました。日本では、V6モデルの導入が始まり、直4モデル以上の人気を博しました。
![写真はランチア・デルタ・インテグラーレの2リッターターボ+4WDのメカニズムを共有するQ4。](https://www.autocar.jp/wp-content/uploads/2025/01/alfa_155_20250129_official_03.jpeg)
75は走りと居住性を両立するためにトランスアクスルという高度なメカニズムを採用しており、『ハンドリングおばけ』のような操縦性を誇っていました。そのためFF化された155はどうなのだろう? という声があがったのは事実。しかし、ロールを許容するハンドリングや、官能的なサウンドを発するエンジンは、しっかり受け継いでいました。
そしてやはり155といえば、レースでの活躍にシビれた人は多いでしょう。1992年のイタリアツーリング選手権(CIVT)でQ4ベースの『155GTA』がアルファ・ロメオにメイクス、ドライバーズの両タイトルを与えた後、翌年からドイツ・ツーリング選手権(DTM)用にオーバーフェンダー、スポイラー類を大型化し、2.5LV6を搭載して戦闘力をアップした『155V6TI』を投入。こちらも同年、ダブルタイトルを獲得しました。大仰な空力付加物が付いた『速いハコ』の魅力は強く、155V6TIは日本でも話題となりました。
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