【概要、本質、期待!自動車ニュースを読む】アウディ ジャパン2025年戦略に見る現状と近未来
公開 : 2025.01.31 07:05 更新 : 2025.02.11 16:49
毎日のように各メーカー、インポーターなどから発信されるプレスリリース。その中から1本をピックアップし、概要、本質、期待という3項目で分析するコラムです。ジャーナリスト橋爪一仁が『アウディ ジャパンの2025年戦略』を解説します。
【概要】アウディ ジャパンの2024年~2025年
アウディ ジャパンは2025年をスタートするにあたって、2024年の振り返りと2025年の戦略を発表した。
2024年は『大きな布石を残すことができた』と振り返り、具体的には『充電インフラの整備』として販売店に設置される充電器の急速化を完了させ、『アウディ・チャージング・ハブ紀尾井町』を4月にオープン。『PCA(プレミアム・チャージング・アライアンス:アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンのオーナーが対象)の急速充電ネットワーク』を368拠点に拡大し、ブランドのタッチポイント強化を図るためにアウディの最先端を体験できるショールーム『アウディ・シティ銀座』を12月にオープンした。

2025年を『アウディとは何か?』を伝えるための重要な1年と位置づけ、スローガン『Vorsprung durch Technik(技術による先進)』のもと、かつてないほど多くの最新モデル導入を表明。『48VマイルドハイブリッドのMHEVプラス・テクノロジー』を初搭載する『A5/A5アバント』と次世代の電動SUVと位置づける『Q6 eトロン』を今春、さらに『A6 eトロン』や『Q5』も年内にそれぞれ導入予定としていて、さらに既存店への新しいCIの導入や『アウディ・シティ』として、ふたつめのショールームを日本橋に今春オープン予定である。
カーボンニュートラルの実現に向けては、『アウディ・チャージング・ハブ』の国内2拠点目のオープンを東京都港区の芝公園に予定し、『PCAの急速充電ネットワーク』への新サービス導入に向けた準備も進めることでBEV(バッテリー型電気自動車)ユーザーの利便性向上を図り、『アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー』の継続によって持続可能な未来に向けた仲間づくりも推進する。
【本質】カーボンニュートラル時代のアプローチ
今回のリリースを紐解くと、中核にある『ブレない』方針として、BEV普及に向けた国内2拠点目の『アウディ・チャージング・ハブ』や『PCAの急速充電ネットワーク』への新サービス導入準備を進めて充電インフラの整備を図り、『アウディ・サスティナブル・フューチャー・ツアー』による仲間づくりも継続するとしている。
一方、2024年の国内BEV販売台数は5万9736台と前年比32.5%減少、BEVで攻勢をかけたアウディは健闘するも、国内の販売総数(BEV以外も含む)が2万1415台で前年比13.1%減少となった。モデルサイクル等の影響が考えられるものの、販売増に向けてはハイブリッドモデルが欲しいところで、そこに新型モデル『A5/A5アバント』が今春に登場することは好機で、販売面における期待は高い(アウディはBEVモデルを偶数、他を奇数とする方針で、既存の主力モデルA4はA5となった)。

現状、自動車の歴史はエンジンの歴史といっても良いほどエンジンが自動車産業の中核を担うため、歴史を有するメーカーほどアセットとしてエンジンの工場や生産設備、研究開発施設、そして、人材を有している。そこでBEVに舵を切ればアセットを減らすか? 販売総数(売上)を増やす拡大戦略をとるか? の経営判断が問われ、さらにSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル=ソフトウェアによって定義されるクルマ)による自動運転やコネクティッド技術の要求が増え続けているのが課題となる。そんな中、アウディはサプライヤー大手『ヴァレオ』でCTOを担ってきたジェフリー・ブーコ氏が、イノベーションおよびSDV担当取締役として将来に向けた推進を担う。
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