世界最高峰の「二刀流」 ポルシェ911 GT3へ試乗 触媒4基でショートレシオ化 510psは維持

公開 : 2025.01.31 19:05

992型の911 GT3が小改良 触媒は4基に ショートレシオ化で加速力維持 新デザインのシート獲得 鳥肌モノの目覚ましい興奮 操舵感は穏やかに 最高峰の二刀流だと英編集部は評価

911 GT3が992.2型へアップデート

モータースポーツの世界で、ポルシェ911 GT3以上に人気の高いモデルはあるのだろうか。1999年に996型へ追加されて以来、公道でもサーキットでも能力を発揮できる高性能ポルシェとして定着。費用対効果の高さから、多くの支持者を獲得している。

現行の992型でも、そんな期待へ応えていた。そして2025年1月にアップデートを受け、992.2型へ進化を果たした。見た目は、2021年登場の前期型とほぼ変わりないが、内側には入念に手が加えられている。少し長くなるが、1つ1つ確認していこう。

ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)

サーキット志向なGTウイング付きのGT3と、より公道志向で僅かに高級な、ウイングレスのGT3 ツーリングが設定されるのは従来どおり。両者のメカニズムは共通する。後者では、+2のリアシートが標準になった。

サスペンションで特筆すべきは、バンプストッパーが小さくなったこと。これにより、ストローク量は25mm増加。路面への追従性が高まり、コース脇の縁石へ乗り上げても、高い安定性を保てるという。また前側は、アンチダイブ特性も改善されている。

ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント(PASM)ダンパーは、そのまま。前がダブルウィッシュボーン、後ろが5リンクという構成も変わりない。200km/hで400kgに達するダウンフォースへ耐える、アンチスクワット性を得ている。

電動パワーステアリングのソフトも更新。やや神経質だった特性は改められ、リニアさと正確性が高められたという。アクティブ後輪操舵システムは、従来どおり備わる。

触媒は4基に ショートレシオ化で加速力維持

最新の排気ガス規制へ対応するため、ドライサンプ式の4.0L水平対向6気筒・自然吸気エンジンには、触媒が2基追加され合計4基に。これにより15-17%高まる排気圧へ対応するため、バルブタイミングとスロットルボディも調整された。

最高出力は、510ps/8500rpmで変わりなし。レブリミットは9000rpmだ。最大トルクは45.8kg-mで、2.0kg-m低くなっている。加速力を補うため、6速MTと7速DCT(PDK)のファイナルレシオは、8%ショートになった。

ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)

MTには機械式のリミテッドスリップ・デフが、DCTにはアクティブ・リミテッドスリップ・デフが組まれる。後輪駆動で、ホイールは前が20インチ、後ろが21インチ。ブレーキの冷却性を高めるため、前後へエアダクトが追加された。

小変更前から20kg増えた車重は、触媒の影響が大きいという。ドア内側の構造も強化されている。ある程度相殺するため、カーペットとバッテリーは軽いものが採用された。

軽量化パッケージも指定できる。カーボンファイバー製ルーフに、リア・アンダーフロア・シアーパネル、リア・アンチロールバーとカップリング、シートを軽量なアイテムへ置換。カーボン製インテリアと、マグネシウム製ホイールも与えられる。

これを選ぶと、車重は1420kgに仕上がる。ちなみに、991世代のGT3は1418kgだった。ただし、ツーリングではないGT3では、ホイールはアルミ製が維持される。サーキットでは、高い耐久性が求められるためだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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