世界最高峰の「二刀流」 ポルシェ911 GT3へ試乗 触媒4基でショートレシオ化 510psは維持

公開 : 2025.01.31 19:05

新デザインのシート タコメーターが大きく

インテリアは、オーナー好みに多少カスタマイズできる。クラブスポーツ・パッケージを選ぶと、リア側にロールケージが追加される。

新デザインのカーボン製シートは、後方へのアクセス性を高めるため、背もたれを前へ倒すことが可能になった。ヘルメットを被ることを想定し、ヘッドレストのサイドサポートは部分的に取り外せる。

ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)

円形のステアリングホイールには、ドライブモードを選ぶノブが備わり、アダプティブダンパーの硬さを調整できる。メーターパネルはモニター式。アナログの方が筆者好みだが、992.2型ではタコメーターが大きく描かれ、読みやすくなった。

エンジンのスタートスイッチは、ボタンではなく回転式。7速DCTのシフトレバーは大きめで、シーケンシャルシフトのように倒しやすい。6速MTには、911 S/T用のショートレバーが組まれる。

992型の運転席からの視界は、前世代ほど広くないものの、すぐに慣れるはず。運転支援システムは、簡単にオフへ切り替えられる。

今回の試乗では、サーキットを7速DCT付きの通常のGT3で走り、公道を6速MTのGT3ツーリングで確かめた。どちらも、望ましい軽量化パッケージが組まれた状態だった。

鳥肌モノの目覚ましい興奮 操舵感は穏やかに

4.0L 6気筒エンジンは、中毒性があるほど鋭く回る。すべてを解き放つと、鳥肌モノの目覚ましい興奮を覚えるほど。凄まじく速く、高い回転数を保つには、プッシュし続ける必要もあるが。

高域では、ロッカーアーム・ノイズがタービンのような響きへ転じる。これは他のモデルでは味わえない、陶酔を誘う雄叫び。ショート化されたファイナルレシオのおかげで、高めの回転域を活かしやすい。

ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)
ポルシェ911 GT3(992.2型/欧州仕様)

最大トルクは6250rpmから。公道でトップギアに入れると、アクセルレスポンスは重くなる。エコドライブしているように。DCTでは、シフトパドルで自らギアを選んだ方が、遥かに充足度は高い。

公道では、フライホイールの軽さを感じられるMTの方が魅力は強め。ブリッピング機能も、必要なら使える。ブレーキペダルの感触は、従来どおり頼もしい。

ステアリングは、少し落ち着いたように思えた。試乗会場には比較として911 S/Tも用意されていたが、後輪操舵システムと相乗し、GT3は明らかに軽快。だが正直なところ、911 S/Tの方が好印象ではあった。

切り始めの反応は僅かに穏やかになり、安定性が増している。旋回時の感覚は、自然になったといえる。

サーキットでは、若干アンダーステア傾向。コーナー侵入時のブレーキングで荷重を移すか、正しいギアへ減速してリアから加えるパワーで、バランスを探れる。

短時間に限界へ迫れるほど、親しみやすい特性に変わりはない。一体感と一貫性が素晴らしい。コーナーの縁石での、衝撃吸収性が高まったことには気付けなかったけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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