第3の韓国勢もナシじゃない KGMアクティオンへ試乗 高級感はなくてもフル装備

公開 : 2025.02.14 19:05

サンヨン改めKGMから、新型SUV登場 イヴォーク風の見た目に広々の車内空間 高級感は高くなくてもフル装備 必要な場面で必要なトルク 淡白な操舵感に硬めの乗り心地 英編集部が評価

サンヨン改めKGM イヴォーク風の見た目

韓国のサンヨンから、新体制になりブランド名も一新されたKGM。英国市場では、早々に中型SUVのトーレスが提供されていた。だが今回試乗したアクティオンは、新たな環境下で開発された、本当の意味でのKGMといえるだろう。

見た目はトーレスと似ている。プラットフォームも共有し、ボディサイズは全長4740mm、全幅1910mm、全高1680mmと、ひと回り大きい程度で大差ない。それでも、韓国のコングロマリット、KGグループに相応しいモデルへ仕立てたと主張される。

KGMアクティオン 1.5GDI K50(英国仕様)
KGMアクティオン 1.5GDI K50(英国仕様)

スタイリングは、直線基調で主張が強い。同時に、ランドローバーレンジローバー・イヴォークと、僅かにイメージが重なるように思う。跳ね上がったリアのオーバーハングや、後方へ向けて傾斜したルーフラインの処理が、そう感じさせる。

フロントグリルで光る3段のデイライトは、韓国の国旗がモチーフになったらしい。個性的で、悪くないデザインだと思う。

パワートレインは、トーレスも積む1.5L 4気筒ガソリンターボエンジンのみ。最高出力163ps、最大トルク28.5kg-mを発揮する設定も同じ。扱いやすさを求めて、レスポンスを磨いたということだが。

高級感は高くなくてもフル装備 広々の車内空間

アクティオンのインテリアはブラック基調。全体的に、シンプルな造形で雰囲気は落ち着いている。ダッシュボードの上には、12.3インチのモニターが2面連なった、ワイドなモニターパネルが据えられる。

ルーフラインの影響で、荷室の容量はトーレスより僅かに狭いものの、668Lと充分。欧州では同クラスで高い支持を集める、韓国勢のキア・スポーテージよりかなり広い。

KGMアクティオン 1.5GDI K50(英国仕様)
KGMアクティオン 1.5GDI K50(英国仕様)

英国仕様のトリムグレードは1択のみで、基本的にはフル装備。ナッパレザー張りのシートが標準となり、スポーティさを狙ったものではなさそうな、レッドのアクセントが各所に施される。

センターコンソールは、宙に浮いたように見えるフローティング構造。そこへ、クリスタル調のシフトセレクターが位置する。カーボンファイバー風の化粧トリムも採用されている。さほど、高級感が高いわけではないとしても。

乗員空間は、ボディサイズが小さくないだけに前後席とも広々。トーレス以上に、走行時の静寂性は高められたという。運転席からの視界は広く、周囲を確認しやすく感じた。

必要な場面で必要なトルク 淡白な操舵感

発進させてみると、意欲的な加速を披露するわけではないものの、普段使いに不満なし。車重は1580kgあるが、必要な場面で、必要なトルクを引き出せる。高速道路でも、力不足は感じられなかった。

トランスミッションは、アイシン社製の6速オートマティック。エンジンとの協調性が優れず、シフトアップには消極的に思えた。

KGMアクティオン 1.5GDI K50(英国仕様)
KGMアクティオン 1.5GDI K50(英国仕様)

燃費は、このクラスとしては褒めにくい。カタログ値でも11.7km/Lと振るわず、今回の試乗では平均9.9km/Lに留まっている。

ステアリングホイールの感触は淡白。カーブでは手のひらへのフィードバックが薄く、路面から切り離されたような感じを伴う。とはいえ軽く回せるから、中型SUVとして不満を抱くユーザーは少ないだろう。

サスペンションも改良されており、乗り心地はトーレスより良好。凹凸の目立つグレートブリテン島のアスファルトで手を焼くほどではないが、若干硬め。車内へ伝わる振動は小さくない。

新しい防音材と、ノイズキャンセリング機能を備えたタイヤのおかげで、車内は比較的静かといえる。ホイールのサイズは、20インチだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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