自動車業界の歴史に残る失敗作 55選(後編) 2001年~2015年

公開 : 2025.02.01 18:45  更新 : 2025.02.03 10:43

デザインや性能が良くても、必ずしもヒット商品になるとは限らない。デロリアン、サンヨン・コランド、サーブ9-7xなど、さまざまな理由から「売れなかった」クルマを年代順に紹介していく。

レクサスSC 430 – 2001年

(翻訳者注:この記事は「後編」です。前編と中編もあわせてお楽しみください)

レクサスSC 430は、コンセプトの「スポーツクーペ」と4.3L V8エンジンからその名が付けられた。メルセデス・ベンツSLのライバルとして売り出され、電動格納式の金属製ルーフは、同年に登場した新型SLと同様の機構であった。スタイリングは、高級ヨットからインスピレーションを得たと言われる。

レクサスSC 430 - 2001年
レクサスSC 430 – 2001年

名目上は4人乗りだが、後席が狭く、実際には2人乗りだ。装備は非常に充実しており、当時の基準としては何ら不足するものはなかった。しかし、SC 430は他のレクサス車ほどの魅力はなく、9年間で7万2000台を販売したにとどまる。これは同期間のメルセデス・ベンツSL(16万9434台)の半分以下であった。

ルノー・アヴァンタイム – 2001年

パトリック・ルケマンがデザインしたルノー・アヴァンタイムは非常に大胆で、多くの人を魅了した。しかし、残念ながら購入にまで至る人はほとんどおらず、2003年に生産終了となり、販売台数はわずか8500台にとどまる。これにはさまざまな理由があるが、ルノーが同車をBMWやメルセデスなどの高級クーペのライバルとして位置づけたことが、その一因であることは間違いない。

アヴァンタイムの後部座席は4人乗りとしては不十分で、乗り降りも簡単ではなかった。ドアは非常に長く、開閉するだけでも一苦労だ。また、ミニバンのエスパスのシャシーをベースにしたため、いくらクーペボディを載せてもハンドリングの面ではあまり良い結果は得られなかった。そして、マトラが自動車製造から撤退してアヴァンタイムを作る工場がなくなったことが、トドメの一撃となった。

ルノー・アヴァンタイム - 2001年
ルノー・アヴァンタイム – 2001年

メルセデス・ベンツ・バネオ – 2002年

小型ハッチバックのAクラスの販売成功を受け、メルセデス・ベンツはミニバンタイプの派生モデルを開発した。当時、競合他社の多くがハッチバックベースのミニバンを投入しており、その代表例であるメガーヌ・セニックは販売チャートで上位にランクインしていた。では、新型バネオはどうだろうか? 英語圏では「バン(Van)」という語を含む名称が足を引っ張り、Aクラスをひどくいじったようなスタイルも受け入れられなかった。

バネオの実用性については疑いの余地がなく、Aクラスと同じようにさまざまなエンジンが用意されていた。しかし、よりスタイリッシュなミニバンが次々と登場したため、客足は遠のき、販売台数は3年間で4万6347台にとどまった。

メルセデス・ベンツ・バネオ - 2002年
メルセデス・ベンツ・バネオ – 2002年

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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