自動車業界の歴史に残る失敗作 55選(後編) 2001年~2015年

公開 : 2025.02.01 18:45  更新 : 2025.02.03 10:43

クライスラー・クロスファイア – 2003年

米国車が欧州に輸出されたように見えるかもしれないが、クライスラー・クロスファイアはドイツで構想され、設計、製造されたモデルだ。ダイムラー・クライスラーの不幸な合併により誕生したクロスファイアは、初代メルセデス・ベンツSLKのシャシーとV6エンジンを使用し、オプションとしてSLK 32 AMGと同じ最高出力340psのスーパーチャージャー付きエンジンも設定していた。

問題はブランドにあった。欧州の消費者はクライスラーではなくメルセデスを望んだのだ。その後、メルセデスから2004年に新型SLK(R171)が発売され、クロスファイアはボールナット式ステアリングを採用していたこともあって時代遅れと見られるようになった。インテリアの質感はSLKやBMW Z4ポルシェボクスターには及ばず、クーペモデルは猫背のような外観であった。本拠地である米国でも販売されたが、そこでさえ敬遠され、クロスファイアは2007年に生産終了となった。販売台数は7万6014台であった。

クライスラー・クロスファイア - 2003年
クライスラー・クロスファイア – 2003年

プジョー1007 – 2004年

プジョー1007は、しっかりとした目的を持って開発された。狭い都市部でも扱いやすい理想的なクルマであり、それでいて、スライド機構付きの後部座席により多目的なラゲッジスペースを実現している。

しかし、背の高いスタイリングとスライドドアに対する消費者の反応は芳しいものではなかった。結果として、1007は合計9万3900台しか販売できなかった。一方で、従来型のハッチバックの207は2007年だけで50万台以上を売り上げた。これ以上は説明不要だろう。

プジョー1007 - 2004年
プジョー1007 – 2004年

サーブ9-7X – 2004年

9-7Xには、エンブレム以外にあまりサーブらしさは感じられない。米オハイオ州のGM工場で製造され、シボレー・トレイルブレイザーをベースに、4.2L直列6気筒エンジンまたは5.3Lと6.0LのV8エンジンが用意されていた。四輪駆動が標準だったが、サーブらしいデザインの緻密さは一切なく、消費者の目に留まることはなかった。

米国のSUVとしては販売台数がわずかであったため、2009年に販売終了となったのはある意味で当然だろう。兄弟車のシボレー・トレイルブレイザーが2005年だけで25万台近く売れたのに対し、9-7Xの累計販売台数は8万5994台であった。

サーブ9-7X - 2004年
サーブ9-7X – 2004年

シトロエンC6 – 2005年

シトロエンはC6の発売時に販売見込みについて大々的にアピールすることはなかったが、DSの新解釈としては好意的に受け入れられるだろうとひそかに自信を持っていた。実際、C6は大胆な外観と快適な乗り心地を備えており、こうした従来とは異なるアプローチが高く評価された。

しかし、C6はファンや購入者から熱心な支持を得たものの、ドイツのライバル車との販売競争には苦労した。フランス国内でも販売は伸び悩み、2012年に最後の1台がラインオフした時点で、C6の合計生産台数は2万3400台にとどまる。これは、高級車市場の保守的な性質を如実に示す結果であった。

シトロエンC6 - 2005年
シトロエンC6 – 2005年

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

自動車業界の歴史に残る失敗作の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

コメント

おすすめ記事

 
×