ボルボXC90 D5インスピレーション
公開 : 2015.02.13 23:50 更新 : 2017.05.29 19:08
テスト車両として借りだしたXC90はトップ・グレードにあたるインスピレーション・トリムであったため、車内の大部分はレザーであしらわれている。先述のタッチスクリーンに加えてレザー・シートも標準だ。
車両価格は£45,750(837万円)〜£50,185(919万円)。また、£48,800(893万円)〜£53,200(974万円)の間にT6ガソリン・モデルが、£59,900(1,096万円)〜£63,650(1,165万円)の間にT8ガソリン-電気プラグイン・ハイブリッドが加わる予定だ。
■どんな感じ?
車格に対して225psという最高出力は、いささか不安を覚えなくもないけれど、実際に乗ってみたところパワー不足に不満を覚えることはない。出力は8速ATを介して4輪に伝えられ、通常走行時はフロント偏重のトルク配分となり、よりハードな走行を求められる際はハルデックス製のクラッチを介して後輪にもトルクが伝えられる。
2日間を通して徹底的に乗り込んだところ、かつてのXC90の長所はそのまま残っていることがわかった。オフロードに侵入することは許してもらえなかったものの、各データの子細まで包み隠さず教えてくれたのもありがたい。
開発の段階では、フォルクスワーゲン・トゥアレグやポルシェ・カイエン、BMW X5などの一般道に的を絞ったSUVを視野に入れなかったと語ってくれたのは、エンジニア氏。
確かに、渡河水深限界:50mm、最低地上高:238mm、アプローチ・アングル:24°、デパーチャー・アングル:21°、ブレークオーバー・アングル:23°という数値を見れば走破性に関する本気度が伺える。さらに牽引可能重量は2700kgに及ぶというのだから、実用派SUVとしては恐れ入るレベルである。
実際に乗ってみてさらに驚いたのは、その快適性。残念ながらもっとも興味のあるリーフ・スプリングを組み合わせたモデルには試乗できなかったものの、エア・スプリングのもたらす高速域の乗り心地は至極快適なもの。
エア・スプリング特有の振動が看取されることもあったけれど、総じて安楽な方向に徹していることがわかった。
なかでもT6に組み合わされていた21インチ・ホイールよりD5の20インチの方が、路面の凹凸を丸め込んでくれており、したがって標準の19インチならばさらなる ’柔らかさ’ が期待できる。
操舵フィールは、入力に対してつるりと向きを変えてくれる印象。ボディ・サイズが悪因となって、微舵に対するギャップをともなう ’かさばり感’ も見受けられなかった。
ステアリングも重すぎたり軽すぎたりすることはなく、直進走行時はどっしりと構えている印象。ここから転舵を試みれば、初期の入力に対する反応は機敏な類である。