キャデラックATS
公開 : 2012.07.28 17:51 更新 : 2017.05.29 18:32
■どんなクルマ?
キャデラックATSは、1980年代初頭の本当に忌まわしいキャデラック・シマロン以来の、キャデラックのブランドを持つエントリー・レベルのコンパクト・セダンだ。キャデラックは、シエル・コンセプトに基づく新しいフラッグシップを含めて、そのモデル・ラインナップを一新しようとしているが、この大衆向けサルーンは、キャデラック・ブランドのカムバックを高らかに宣言するモデルでもある。
■どんな感じ?
新しいATSは、単なるシボレーのバッジ・エンジニアリングではなく、ハンサムで驚くほど要求を満たすサルーンだ。その最大の問題点はキャデラックというブランドの持つイメージなのかもしれない。
10年前にCTSが最初にデビューした時の「アート&サイエンス」というデザイン言語は、このATSにも引き継がれている。その上級モデルであるCTSよりも22cm短いが、このコンパクトなモデルはCTSよりも刺々しくないデザインを持つ。そして、バイエルンのセダンとほぼ変わらない寸法を持ちながらも、2.5リッター・カーをベースとしているATSは、BMW 328iよりも68kg軽い1503kgという重量を持つ。「ライトウエイトニング」はATSのエンジニアリング・チームの到達すべき目標であり、内部的にアルファと呼ばれているプラットフォームのキー・ポイントだったのだ。
更に、ブラケットでシャシーに接合するかわりに最新の接着剤を使用したことで、ボディ剛性が確実に高くなっている点も評価されよう。
このATSは、予想されるよりも遥かに緻密につくられているようだ。外観では、クロームとカーボンファイバーによるアクセントなど、伝統的なラグジュアリー・ディテールを持ちながら、おそらく市場に出ている中でも最もユーザー・フレンドリーであろうキャデラック・キュー・システムのような情報エンターテイメント・システムも持ち合わせている。
エンジンはアメリカ国内では3つのラインナップが用意されている。ベース・モデルは202bhpの2.5リッターだが、大部分のユーザーはスポーティな2.0リッター・ターボを選ぶだろう。それは272bhpのパワーと35.9kg-mのトルクを持ち、6速マニュアル・ギアボックスが組み合わせられる。
最も強力なエンジンは3.6リッターV6で、0-100km/h加速は5.4秒というパフォーマンスを持つ。こちらはパドル・シフターがオプションのマニュアル・モード付きオートマティックが組み合わせられる。
一般道では、キャデラックATSはよく路面に密着してレスポンスにも優れる。その電動ステアリングも、アシストレベルも適切で、路面の状態を良く伝えてくれる。
スポーツ・モードにダイヤルを合わせると、サスペンションが強化され、シフト・パターンをスポーティなものに修正してくれる。すると、タイトなハンドリングと、最小限のボディ・コントロールで、とりわけサーキットにおいてはラップタイムを縮小することに寄与するのだ。明らかにその軽いボディと、高いシャシー剛性が、良い結果に結びついているといえるだろう。
■「買い」か?
問題は、潜在的顧客が、キャデラックATSという存在に気がつくかどうかた。キャデラックの歴史は、このしばらくの間、必ずしも良くはなかったからだ。顧客の選択肢の中にキャデラックという存在が生まれるかどうかがキーとなろう。しかし、われわれはそうなってくれることを望むばかりだ。
(ポールA.アイゼンシュテイン)
キャデラックATS
価格 | 37,590ドル(295万円) |
最高速度 | NA |
0-100km/h加速 | 5.7秒 |
燃費 | 11.7km/l |
Co2排出量 | NA |
乾燥重量 | 1530kg |
エンジン | 2.0リッター・ターボ |
最高出力 | 272bhp |
最大トルク | 35.9kg-m |
ギアボックス | 6速オートマティック |